二十八 ページ27
宏太.
夕食までゆっくりするから。
周りにそう告げ、足早に戻った自室でようやっと光と抱き合えた。
「会いたかった…宏太…」
「俺だって」
そんな…吐息で呼んでくれるな、理性なくなるから。
細い腰を抱き寄せ口付けを交わす。
唇の上だけに留まらない想いは、絡め合う舌と掻き
畳の上で狂おしく求め合いながらも、若干の理性を取り戻したのは(やっぱり)光が先だった。
「んっ…宏太…こぉた、ねぇ駄目…」
「どうして?光はこうしたくならなかった?」
あからさまな問いに、白い首筋までもが染まる。堪えきれず唇を下ろしてゆき、ぴくりとしなる背中を撫で上げた。
「っは…!ゃ、こぅたっ…」
「宿で、お前の肌が恋しくて仕方なかった…なぁ、今夜は帰らないと駄目か?」
「駄目と言うことは…」
お、いけるか?
では床に入るまで疼かせようか。そうして左手を着物の裾に忍び込ませようとした途端。
『慧さんっ、お待ちを!』
若干遠目から聴こえる雄也の声に、文字通り跳ね上がった。
これは不味い、非常にまずい!
二人で飛び起き、着物の乱れ(危うく帯を解かれる所だった!←光)を手早く直して。
パン!と音がするほど勢いよく放たれた障子に、「こら慧、開ける前に廊下を叩きなさいと、何度言ったら」
「まぁまぁ宏太、怒らないで」
などと小芝居をする繕いが出来ていた。
か、間一髪…!
『こぉたぁっ』
「しょうのない奴だな」
俺に懐き倒してくる慧を尻目に、目で語り合う。
(すまん、雄也)
(いえいえ)
雄也の微妙な顔で、多分ばれてる。
まぁな、長旅から帰ってきて許嫁と部屋に籠れば普通は察しろと言うものだし。
実際家人は近づかないが。
それが唯一通じないのが、
「何だ慧、甘ったれだな?」
『だめぇ?』
いや『駄目』って…。
さっき光に言わせた『だめ』が蘇り、必死で経を唱えてみる。
そんな下世話な事をまだ知らない弟の髪を、くしゃりと撫でてやればそれはそれは嬉しそうに笑うんだ。
こんなことくらいで笑顔になってくれるなら、俺はこの手を惜しまない。
だがしかし。
『だめ…』と言いながら誘い込む光を、深いところまで征服したい。
…そのまま突き進みたい衝動を幾度抑えたことか。
ああもう。大概の我慢なぞ慣れっこの、己の理性が恨めしい。
「雄也。今夜は特に、呉々も頼む」
慧をしっかり寝かせてくれよ。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時