二十五 ページ24
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慧さんにしがみついてた坊ちゃんが、後から来た番頭さんらしい人に剥がされてる。
「ようこそご隠居様。
通された客間は上品な設えだった。本来なら同席なんて出来ないのだけれど、ご隠居様が取り成してくださり後ろに控える。
慧さんには寄り掛かれるよう、座椅子が用意されていた。
「元気な慧坊の顔を見られて安心しましたよ」
この店の旦那様が、慧さんに慈しむかのような笑みを向けてくる。彼は照れたようにはにかむだけだけれど、大人達にはそれでも充分らしかった。
「ここにいる雄也のお陰でねぇ。僕も自分の見る目に酔ってる所さ」
「と、言うと？」
「父上様、慧とゆっくり話がしたいんで、外しても宜しいですか」
留まりを知らない話に痺れを切らした坊っちゃんが、遮る如く言い放ち、話題が逸れたのは助かった。
本人目の前に話すとか、恥ずかしすぎるだろ。
「ああそうだ、大事な用事があったんだよ。圭人と、何処か部屋を借りてもいいかね？」
「そりゃ勿論ですよ。おーい、圭人を呼んどくれ」
何事ですかご隠居…。って、俺を睨むなよお坊ちゃん。
店にいた圭人さんが呼ばれた別室に、慧さんと移動する。
心当たりのなさそうな彼は、俺にしがみついたままだ。
「随分仲が良さそうじゃない？」
「いえ…」
「さっきのご隠居の話、本当なの？」
団子屋で俺に声掛けしたって話か？
「本当です」
そのままなし崩し的に薮屋に雇われたのもね。
「お前にも渡りに舟だった訳か」
刺あるなぁ。こんなやり取りは久しぶりだけど。
「そうですね、丁度働き口を探していた所でしたので」
「ふぅん…どうやって取り入ったんだか」
これは正しく“坊ちゃん”かな？
美しい顔立ちは剣呑で、俺を見る目は不愉快そうで。
「さぁ…私は雇われた身ですから」
「…可愛くないな、お前」
むしろ新鮮で楽しくなってくる。俺性格悪くなった？
「…慧さん、さっきご隠居様に言われたこと、教えて頂きましょう？」
面倒臭い話題を切り捨て、まだしがみついてる彼をそっと座椅子に落ち着け、持参した紙束を机に置く。
圭人さんは書類仕事がとても上手で、慧さんにも、書き方を学ばせようと来てみた…と、会話の中でご隠居様は言ってた。
あの膨大な紙束が減るなら、確かに『思い付いた良いこと』ですご隠居様。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
