十七 ページ17
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幸い熱は、翌日には下がっていた。往診に来てくれた光先生に甘え倒して気も済んだようだ。
宏太さんが暫く居ないのを、彼自身で納得すれば落ち着くのだそうだ。
で、それは
『ゆーや、これから何をするの？』
「掃除をするんですよ。箒で掃いたら雑巾を絞って…」
『おれもやる！』
「いやいやっ」
今現在。前に仕事、後ろに回復した慧さん。
雛みたいにくっついてくるから、苦笑いした定治さんがなるべく母屋の仕事を回してくれるようになった。
女中達も大さんも、笑うばかりで助けてくれねぇ！
坊ちゃんを無下にできないし、かと言って日々一緒に遊ぶだけなんて以ての外だと思ってんのに。
俺の頭が固いのか？
夜は夜で、すっかり一緒の部屋で寝ることになったし…。
旦那様は元より、最後の砦とも言うべきご隠居様までこの子に大甘ときた日にはもう、俺の味方は誰もいねぇ。
…こうなったらしょーがない。
「慧さん。お話があります」
改まった俺にも、『ん？』て首を傾げるだけ。警戒心どこ捨てたんだ。
「俺…いえ、私はここで、働かせて貰ってる身です」
親しみを持ってくれるのは勿論嬉しいが、仕事に障るようでは困ること。
俺が仕事をしている間、慧さんも自分に出来ることをすること。
等々。
ほんっとに！俺の立場で言えることじゃないんだけど！
唯一、歳上ってことを全面に出して言い聞かせた。
きょとんとして、膨れてからの神妙さ。
慧さんの表情が変化して。
俺が話終わって息を吐くと、普段持ち歩いている紙に、さらさらと何か書き付けて行く。
『ありがとう。雄也』
「え？」
『おれとちゃんと向き合ってくれて。
あのね、家のみんなおれに優しくしてくれるけど、いつも腫れ物にさわるみたいなの。だから言ってくれて嬉しかった』
そんな大それたことを言った覚えは…。
否定しかけると、大きく首を振った慧さんが、更に書き付ける。
『言ってくれたのは雄也が初めてだよ。
おれのこと…ひかから聞いた？』
頷くと、彼も小さく頷き。上手く言えないとしながら、その時の事はただただ強烈な記憶として“残って”いるのだと教えてくれた。
実はそれも、光先生が危惧していたことで。
唐突にその瞬間を思い出し、恐慌に陥る。そして繰り返される恐怖に、いつしか
『おれね。眠るのが一番怖いの』
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
