十三 ページ13
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ぼーっと眺めてたら、光先生が小さく笑った。
「ここに来て、
「はい」
「ここには
「それは…まぁ」
男所帯だと初日に定治さんから聞いていたし、居ないというのはそういうことだろ？
言葉を濁す俺を見やり、彼はふ、と唇を綻ばせた。
「賢いね、君は」
「ぃえ…」
褒められるのには慣れてない。曖昧に笑って誤魔化した。
家人に女っ気がないのは、台所を仕切っているのは女中頭のお妙ばぁやだったり、慧さんの身の回りの世話を年輩の女中達がするのを見てれば判る。
俺をお供に指名して散歩に出掛けるご隠居様も、大奥様をもう随分前に亡くしたのだと教えてくれたし。
「へぇ？ご隠居はお前とよく出掛けるの？」
「ええ。月に二回ほどですけど」
散歩の先は大体花の調達だ。仏前に供える花を買って帰る…だけなら大したことない。
むしろそこからが本番というか。
(あちらこちら脱線しまくるから、呼び戻したり連れ戻したりがなぁ)
強くも言えないし、なまじ健脚だから世話が倍で…。あれで隠居は詐欺だろ。
俺としちゃ外に出られるのは素直に嬉しかったが、気紛れで拾った小僧を気にかけられるのは気恥ずかしい。
けど半面、親も知らないのにじいちゃんてのはこんな感じなのかと思ったり…。
旦那様に目通りした時、いきなりご隠居の世話をよろしく頼むと言われて面食らったけど。
今なら周りから生温い目で見られた訳もわかる。
ご隠居のやることだ、滅多なことじゃ逆らえねぇよな。俺は言いたいこと言ってるけど…もしや不味かったか？
いや、大体ここが特殊なんだよ。何もかもが、今までのどの奉公先にも当てはまらない。
こんなのは始めてだ。
「そろそろ日中も寒くなる季節ですから、どうしたもんかと案じてるところです」
身体に障ったら大変だし…でも、『外を歩きたい』のがそもそもの目的だから俥もなぁ。
「細かいところによく気が回るね雄也。大したもんだ」
「いえそんな…」
「…奥様はね、慧を庇って亡くなったんだ」
明日の天気の話でもするように、さらりと告げられ咄嗟に相槌も打てなかった。
ただ見詰めると、細かく
無意識に、背筋が伸びた。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
