二 ページ2
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結論から言えば、案の定
まぁ却ってせいせいしたか。
痛くもない腹を探られるわ、種馬呼ばわりされるわ。
孕ませることもしてねぇのに種もへったくれもねぇだろ。
少しばかりの着替えを持ち、裏木戸からそっと場を後にした。
呆気ないもんだよな〜。
これでも一応、身を粉にして働いてきたってのに。
「甘辛団子一つね」
出店の長台に腰を下ろし…さて、まず寝床の確保だよな…給金取り上げられなかったのは救いだな。どっか潜り込めるとこは…。
『空いてるかね?』
「ぇっ?…ぁ、ああ、どうぞ」
声に振り仰いだら、鍔広の帽子を粋に被ったじーさんが、空いてるそこを指差してた。
俺の返事に頷くと腰を下ろし、やっぱり団子を頼んでる。
先にきたそれをかじり、頭の中でさっきの続きを考えた。
紹介状もないしな…やっぱここは日雇いのどこかに…。
『兄さん、今日は休みかい?』
「ぁ、いやえーと…まぁ」
まさかクビんなったとは言えないよな。
…あれ?
見たことあると思ったらこの旦那、うちの客だ。来ると必ず、高級な反物を買ってくれる太客。
…あ、もう『うち』じゃねぇな。
『それにしちゃ大荷物だねぇ』
カラカラ笑う旦那に、愛想笑いしながら団子をパクリ。
「どうも。毎度ご贔屓にして頂いて」
あの店に義理はないけど、客に事情はわからないしな。
世間話を少しして、座りたそうにうろうろしてるおっさんに目配せし、立ち上がる。
空いた皿を渡し、旦那に軽く別れの会釈した。
…何はともあれ、一に寝床二に寝床だな。
『ぁあ、兄さん、一つ頼まれてくれんか』
「いいですよ、何です?」
……あ。
振り向いて全開愛想笑いとか。商売気質染み付いてんなぁ。
ま、年寄りに親切にしてもバチは当たんねぇだろ。
帽子の旦那に、呼んでくれと頼まれた俥まで案内する。そーいやぁ、そこそこいいとこの隠居さんと聞いた事があったっけ。
「は?一緒にですか?」
乗れって…いやいや、一介の使用人が…って。
今は『使用人』じゃねぇや。
押し問答も面倒だったし、付き人もいないぽい。
断って後味悪いことになっても面倒かと思い、生まれて初めて俥に乗った。
へぇ…意外と視界高いんだな。
『旦那さん、どちらまで』
『通り向こうの薮屋まで頼むよ』
『あいよっ』
薮屋?
何度か使いに行ったことがある、確か老舗の薬問屋だ。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時