四十七 ページ46
光.
「口付けだけで眠らせた？本当に？」
「そこばかり念を押さないで下さいよ…」
いやいや、関心するだろ。
それ接吻が相当上手ってことだよねぇ…。
(いけないいけない、もう人妻だった)
惜しかったなぁ…まだ独り身ならどんなものか確かめられたのに。
「先生…？」
「ぁあ、ごめんごめん。いやぁ畏れ入るねぇ、どこでお勉強したんだい？」
「さぁ…」
すっとぼける雄也に生温い目を向ける。
まぁこの器量なら、色街に出向きゃ向こうが放っておかないだろうね。
実は慧から、『雄也にずっといてもらうにはどうしたらいい？』って相談を受けていました…なーんて。言ったらどんな顔をするやら。
(まぁ…無自覚の恋心だし)
心の傷を治療するのは難しい。
何年、何十年経とうと、奥底に根付いた恐怖は精神を蝕む。
気鬱病とか言われているものがそうだ。
傷付いた心をせめて癒せたら。たとえ思い出しても側に頼れる誰かがいたら、慧も随分違うと思う。
宏太が俺との婚姻を躊躇してた理由の一つ…大部分を占めてるかな…が慧のこと。
それにヤキモキすることはなかったけれど、悩ましいのも否めずにいた。
そこに現れたのが雄也だった。
控え目でいて、締めるところは締める。
宏太がまず気に入った。
そして何より、慧が懐いたのが大きい。
他人ならではの絶妙な距離感。
他人でなければ出来ない躾。
飴と鞭…ってのは大袈裟だけど、近いことをきちんとしてくれる。
宏太があまりにも雄也を信頼するものだから、ちょっぴり勘繰ったのは内緒にしとこう。
おっと、慧のことだっけ。
「ねぇ雄也」
「はい」
「あの子、俺達が思うより大人だと思うの」
うん、判ってるって顔。
「でも、多分今怖くて寂しくてどうしようもないんだよね。俺が宏太を取ってしまったし」
兄をもう頼れないと、気付いてしまったから。
寂しさが嫉妬に変わって、俺に恨みを持たれても仕方ないと思ってた。
「面と向かって言われたことはないし、そうだとしても俺は宏太を奪うけど」
「光先生…」
「ふふ、意地悪でしょ」
「いいえ」
穏やかに微笑み首が振られる。こんなとこかなぁ…宏太が気に入ってるの。
口にしない意図をきちんと読み取ってくれる。そりゃ手離したくないよね。
「必要なことだと、思います」
ほら。
「うん。…ところで雄也」
何事かと、無意識に居住いが直った雄也に頷いた。
「慧を貰う気はない？」
.
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
