Dekigokoro-no-page 8

51.5(最終話) ページ16

51話の続き。

in.


え？え、ちょっと！

「だからここで手を出してくんなっ！場所考えろっ」

せっかく浸ってたのに！

「お前な！そうポンポン頭叩くなよっ」

「叩かれることしてくる方が悪いっ！」

大体何でこんな手慣れてんのコイツ。
キスの延長で押し倒してくるとか、自然すぎてヤバいだろ！

「まさか雄也センセイ…」

どさくさ紛れに何かインプットしてないだろうな？？

「よしわかった」

「…は？」

判ったって？

「場所変えりゃいいんだよな？」

「え、」


そりゃ実家(ここ)でどうにかなるよりは…って！

「ちょ、やぶっ？」

「だって愛し合いたいだろ？」

だってじゃねーよ。他にナニか？って体(てい)で言われても。

愛し合いたいって……。
ぅわ顔があっつい！

おれの葛藤(？)なんてお構い無しで、いそいそ(殴)と検索してる横顔に高校生(むかし)の面影を見る。

(もしかして、何事もなく大学生してたらこんな風にしてたのかなぁ…)

…いやいや、大体なにを検索してんだ。

どうでもいいことで一喜一憂。
これから先、喧嘩だってするかも。

(…出来るんだよな、喧嘩も)

バカなことで笑い合えることだって。


「幸せってーのかな…こういうの」


「いのおー、どこにする？」

顔を向ければ満面の笑みのやぶが、数件のホテルを空中に呼び出してる！

「ば、ばかやろー！」

イタしましょーそうしましょーってワケいくか！

「何だよっ、ここじゃ嫌ならホテル探すかってなったんだろっ」

「誰がそんなこと言った！都合良く変換してんじゃねー！」

ギャンギャン言い合ってる俺らの声は、階下まで届いていたらしく。
楽しそうなやぶ(むすこ)の声に、ご両親は嬉し涙に咽んでいたらしい。

帰り際おばさんにこっそり耳打ちと感謝をされて、いたたまれないってこのことかと思った。

中身まで聞かれてたらおれ死ねる。



「いのおー、どうする？」

車乗ってもまだ言うか！

「成り行きじゃやだ。…休み取るから、旅行しよ」

「旅行？」

自動運転にしたやぶがこっちを向く。

「そう。旅行」

一番初めの約束通りに。おれが見詰めてると、やぶも真っ直ぐ見てくれた。

沈黙は僅か。

「わかった。行こうな」

「にやつくなっ」

まぁまぁ、と抱き寄せられ前を見ると。

充分浮かれたバカップルが、フロントガラスに映ってた。







end.

………

お読み頂きありがとうございました。

伊野尾くん、祝30th!

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