Dekigokoro-no-page 8

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kota.


店にクッキー籠を置いて、春から秋に掛けてたっぷり蓄えておいた薪を取りに裏庭へ戻った。
シチューを作るなら煮込まなきゃだもんな。

髪や頬を撫でる風はさっきより冷たくて、いつの間にか雪でも落ちて来そうな低い空に変わってた。

「寒いなぁ…」

ヒカルは最近、寝るとき俺に狼姿がいいとねだってくる。
毛皮目的な。
そんなこと全然いいけど、何か最近変なんだよ…。

今まで何とも思ってなかった、ヒカルの湯上がりとか。

起き抜けの間抜けガオとか。

寝顔…とか。

舐めたくなってそうすると、むにゃむにゃ言いながら俺の懐に潜り込んでくる…とか。
その度変な気持ちになるの、何でなんだろう。

「魔女のばかやろ……ユーヤのあほー」

魔女に言ったら絶対笑われるからやだけど、先輩(・・)のユーヤならちゃんと聞いてくれる。

だから相談したいのに。

「何してんだよばーか…」






「そんなに会いたかったぁ？」

「うん……会いたい…」

…………………………えっっっっ！！！


振り向いたらそこに。

「おひさー、コータぁ」

奴らはしれっと立っていた。

何事もなかったように。


ザワッ！

「…っ？」

総毛立つ我が身に戸惑いながら、よくよくローブ姿の二人を見詰めた。

何だよこれ…。

ボール投げで遊ぶ時のような距離感を保つ二人の周りに、異様なものを感じる。
俺のあからさまな警戒を見てか、魔女が肩を竦めた。

「流石だね純血種。でもこれでも精一杯…」

ふわり、とその身体が傾ぐ。

「まじょっ！」

一瞬前までの警戒心を忘れて駆け寄ると、難なく受け止めてるユーヤが小さく笑う。

「未だに魔女呼びなの？コータくん」

ぴくっ。

俺の耳が反応した。この声はユーヤの声だ。さっきの魔女…ケイのそれも。

この二人は本物。
ほんものだ…っ。

「ねぇ！今…ケイ様？！ユーヤ！」

走ってきたユートの叫びにハッとした。

異質なモノは確かに感じたけどそれよりも。
まじょの…ケイの紙より白い顔色に、心臓がドクンッと嫌な音を立てた。




力なく横たわる、銀色の毛並みが重なる。


じわりじわりと、紅くあかく、染まってゆく。

俺を呼ぶ声はもう、聞こえない。



「コータっ？！」


走り込んできたヒカルが、震える俺をギュッと抱き締めてくる。

「やだ……ぃやだ、っ…！」

しなないで、っ…！！


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