八十三 ページ36
雄也.
「だってさぁ、焦れったくなっちゃったんだよ、僕は」
「せっかくの好機を逃しまくってんじゃないかお前さん」
「男子たるもの、据え膳食わぬは恥と知れってねぇ」
「ご隠居様、お孫様を据え膳とは…」
一区切り毎に突っ込みを入れたいのを、必死に我慢してたのに言い放ってた。
最後の言い種はないだろ。
「おや、足りないかい？」
「足りるとか足りないとかではなく…」
例え自体がどうかしてると言うのに。大体何だよその、孫を売るような台詞は。
「それとも…傷物になりかけた子なんて嫌かな？」
「何てこと言うんですかっ」
間髪いれず反論してしまいハッとなる。しまった…。
「申し訳ありませんっ」
「………っ、はははは！」
いきり立ってしまったことを詫びると、まじまじ俺を見ていたご隠居があろうことか爆笑しだした。
ぎょっとしてるうち、漸く笑いを納めたその顔は慈愛に満ちていて。
その変わり身に困惑するしかない。
「いやいや、
「ぇ？」
ばっちん！と片目を瞑られる。
「悪かったねぇ、試すような事を言って」
「何ですか試すって…笑い事で済まされない時もありますよ？」
「悪かったよぉ。お前さんの本心を慮るには、一番いいと思っただけなんだよ」
正直言いたいことはまだあるけど、押し留めた。何時にも増して意図が読めないぞ？
「少し真面目な話になるけどね」
「…はい」
雰囲気の変わったご隠居に倣い、居住いを正した。
くつくつと釜の湯が煮える音が、束の間良く聞こえる。
「ずっと怯えてるのだろう？」
「…………」無言で頷く事で答えた。
その身に刻まれかけた凌辱。未遂とは言え、慧さんの心にどれだけの負担が掛かったことか。
消えることはなくてもせめて癒えて欲しい。解決策は、時間しかないのだと判っているけれど。
「ねぇ雄也どうだろう、本当にあの子を貰う気はないかい？」
「……ご隠居様」
真摯な言葉を受け、向き直る。
「無論本人同士の気持ちが大事だと思うよ。でもねぇ…慧は、相当お前さんを好いているように僕には見えるんだな」
そりゃ、そうだとしたら嬉しいけど。
「お前さんはどうかね？」
「惚れてます」
「わぉ」
あ、食いぎみに言ってしまった。
後の言葉を探してると、ご隠居が柔らかく破顔していた。
「何時でも賛成と、僕はあの時言ったはずだよ」
.
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夏夢(プロフ) - ましろさん» はぃい(^^;元気な爺様ですわwさーて坊っちゃんが先か、紫さんが先か。次章で何とかなればいいんですけども(^^;移行先でもまた遊んでくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 20時) (
レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - たくさん更新〜♪ ご・隠・居・さ・まったらぁ(≧∀≦) どんだけ浮かれてるんですか(もっとやってよくってよ) 坊っちゃんそろそろ限界ですかね？ 使用人お三方、良い味出してる〜！続き楽しみです(^-^) (2021年6月13日 12時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» スキップ、って素直に書けたら楽なんですけどねぇ(日本語縛りの壁w)ひか先生も通ってきた道なんで、慧ちゃんの気持ちがよくわかるのかもw次章もぜひ遊びに来てくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 8時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - きたきたきたー！更新ーー！！やはり、そうだったのか！ひか先生さすがだわー。御隠居は絶対スキップしながら言いふらしてんだろーなー。女三人の会話も…いやぁ、色々気になるわー。移行先、どんなことになってるかなぁ。楽しみすぎる！ (2021年6月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 大ちゃん益々隠密めいてきたですwwwそんでねみるさま、そこはほら、これからに繋がるのよぉおお( 〃▽〃)気合い入れて頑張るぞっ( ≧∀≦) (2021年5月24日 19時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2019年8月29日 8時
