七十二 ページ25
雄也.
心当たりはまず厠だが、俺の目はそこより先に、開け放たれた廊下の雨戸を発見した。
「何で…」
駆け寄り辺りを見回せば、見当たらない外草履、そしてその向こう。
蔵の中で不規則に揺れる明かりが見えた時、全身が冷えた。
「まさか」
取って返し厠の木戸を乱暴に開け放つ。居ない…!
「待った雄也」
「っ?!誰だこの…!」
「しっ」
縁側から飛び出そうとした瞬間掛かった、鋭い制止。振り向けば、爆睡の面影を綺麗に削ぎ落とした大さんが立っていた。慌てて口に手を当てる。
どうして、大さん。
「細かい事は後だ。なるべく足音立てんなよ」
いつもの陽気な雰囲気は微塵もない。言われるまま頷き縁側から飛び降りる。
揺らめく光、ただならぬ気配と漏れ聞こえる不明瞭な声。
二人で足音を殺し駆け付け、隙間が出来ている重い扉に手を掛けて頷き合う。
そして開け放てばそこに。
信じられない光景が広がっていた。
ガコンッ。
「雄也、大貴っ?何でここにっ!作造さんっ!」
振り向き慌てる芳助の悲鳴
「ぁあ?!それがどうした!ぅお!暴れんで下さいよォオ坊っちゃんんんん!」
作造の下で、剥き出しの白い脚を抱え上げられ、夜着を無惨に踏みにじられ必死の抵抗を試みているのが慧だと、脳が認識した瞬間。
「ぁ?!何しやが、ぅおっ!!」
むんず、と掴んだ作造の襟元を、力任せに投げ飛ばした。
鈍い音と共に頑丈な石壁にぶち当たり、どこか打ち付けたか醜い悲鳴を上げる男を数歩分進み締め上げる。
「こぃつ…ぐぇ!」
「雄也っ?!」
その時俺の耳には、大さんの声も届いていなかった。
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夏夢(プロフ) - ましろさん» はぃい(^^;元気な爺様ですわwさーて坊っちゃんが先か、紫さんが先か。次章で何とかなればいいんですけども(^^;移行先でもまた遊んでくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 20時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - たくさん更新〜♪ ご・隠・居・さ・まったらぁ(≧∀≦) どんだけ浮かれてるんですか(もっとやってよくってよ) 坊っちゃんそろそろ限界ですかね? 使用人お三方、良い味出してる〜!続き楽しみです(^-^) (2021年6月13日 12時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» スキップ、って素直に書けたら楽なんですけどねぇ(日本語縛りの壁w)ひか先生も通ってきた道なんで、慧ちゃんの気持ちがよくわかるのかもw次章もぜひ遊びに来てくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 8時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - きたきたきたー!更新ーー!!やはり、そうだったのか!ひか先生さすがだわー。御隠居は絶対スキップしながら言いふらしてんだろーなー。女三人の会話も…いやぁ、色々気になるわー。移行先、どんなことになってるかなぁ。楽しみすぎる! (2021年6月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 大ちゃん益々隠密めいてきたですwwwそんでねみるさま、そこはほら、これからに繋がるのよぉおお( 〃▽〃)気合い入れて頑張るぞっ( ≧∀≦) (2021年5月24日 19時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2019年8月29日 8時