93 ページ45
in.
「ぃ…ててて、て…」
あれ、どこだここ。ぇえ…確かウチに着いてそれから…。
天井が木目。右に衝立、左に箪笥…目で確認して息を吐いた。ああ…ばーちゃんとこだ。
「いのおっ？」
んぇ？と思う間なく、影がいきなり襲って来た！ちょ、こわいこわいこわい！
「いのおっ、いのお、起きたのか？！」
いや起きましたけど何これ、やぶっ？
「良かったぁああ！お前ずっと寝っぱなしで！」
ぃや、ちょっと待って。どうでもいいけど苦しいって！
「薮落ち着け。いのちゃんが呼吸困難になってるから」
「珍しいもの見られてラッキーだけど、伊野尾くん潰れちゃうからねー？」
はい離れて離れて。言葉と一緒にやぶ(らしき物体)が剥がされる。
あー、やっと息つけるっ。
「いのちゃん大丈夫？ここ判る？」
「…ばーちゃんとこ」
「うん。何か飲めそう？」
「みず…」
「水ね、オッケー」
離れてったのが光…で、そこでやぶを羽交い締めしてんのが。
「たかき…離してやって」
やべぇおかしい。笑いが押さえきれてなかった。
「離せコラ。てかお前も笑うな」
いやだって、おかしいだろ。
「大丈夫そうだね、よかった」
高木に頷き、そろそろと身を起こしてみる。
「さんきゅ」
支えてくれた高木の肩越しのやぶ…の向こう。
「ばーちゃん。…あ、りがと」
光から水の入ったコップを受け取り、ほぼ一気に飲み干した。
冷えた水が隅々まで行き渡り、久し振りにうるおった感。
「気分は？」
「あ〜。…うん」
ずっとふわふわしてたのが、すっきりした感じだ。
「多分抜けた…と思う」
熱とか、『けい』の気配が。
「どうやらきれいに逝ったようですね」
口許をきゅっと引き締めるばーちゃんに、「うん」と応える。
そーいや身体も軽い。熱下がってんのかな。
「…そのようです」
「ええ。一先ず安心したわ」
え？高木とばーちゃん親しげじゃね？どーゆーことよ？
「伊野尾、おまえ身体は？」
「ん？うーん…軽くはなってるかな」
言った側からやぶに寝かされた。
「すぐ元通りにはならないだろ、寝てろ」
大人しく頷けば、くしゃっと髪を掻き回された。
「俺らあっち行ってよーか？」
「っ！」
声の方を見れば、やぶの向こうにニヤついた光と、いっそ慈愛か！な笑みを浮かべてる高木とばーちゃん(何で気が合ってんだよっ)。
恥ずいじゃん！また熱出そうなんだけど！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» こちらこそいつもありがとうございます😊そうですね、紫さん他の3人よりちょっぴり大人です。次章もぜひ遊びに来てくださいね〜☺️ (1月12日 21時) (
レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - 更新ありがとうございます。紫さんが色々と紳士的な対応でいいなって思っております。この先現実世界で何が起きるのか楽しみです😊 (1月12日 19時) (レス) @page49 id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ましろさん» 可愛い黄色さん💛お持ち帰り案件ですよねっ🤭さて、現実世界でなにが起こるんでしょうか😅次章をお楽しみに〜😊💕 (1月12日 8時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 泣き上戸な黄色さん可愛すぎです🤣どうにも『さわり』が気になるところですが😁平和の戻ったふたりのこれからのお話も楽しみです〜✨ (1月11日 21時) (レス) @page50 id: f14529ed1c (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» 計さまったらさらっと謎を残して逝かれましたねぇ😅ぇええ、そんな嬉しいことをありがとうございます😆書けたらいいなぁ😊💕 (12月22日 21時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏夢
| 作成日時：2023年7月23日 22時
