久遠の白.２(ybin)

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えーと。
妙なことになってる。


『それは何という食べ物ですか？』

「できとーごはん」

『はて…干し飯(いい)の一種でしょうか？』

言葉の意味がわかんねぇ。でも多分「違うと思う」

丼にご飯盛って、納豆と大葉と…ネギとカラシとかつお節。
やぶがいない時の一人メシなんか適当だ。
と、言うのに、一つ一つ食材の説明させられてるおれって…。

「いただきまー」やっと口に入るぅ！

『もう少しゆっくりお食べなさい』

「……」

素直に頷くのも憚られるから、心持ちスピードを落とすと。

『よい子ですね』


だから、ナニコレ。
幽霊と会話？てか躾られてんですけど？！

(最初の殊勝さどこ行ってんの…)

端から見たら『独り言が多い人』…てか『変な人』認定間違いない。

おれが一人でいる時(正に今とか)、『彼』は時折話しかけてくるようになった。
どうやら、おれを通して色々見てるらしくて。好奇心旺盛なのかな。

で、受け入れてるおれもどうかと。

(でもなぁ…慣れちゃったんだよね)

二重人格とかそんなのも疑ったけど、違う。
『彼』には意志があって、一応外見もはっきりしてて(？)。
まぁ『身内』なんだろうけど…。

「身内…？そっか。聞けばいいんじゃん！」

ぬかった！こんな基本見逃してたとか！

食べ終わった丼をシンクに下げて、ミネラルウォーターを煽りながら実家のナンバーをタップした。

はしゃぐ母親をどうにか宥めて本題に入ろうとすると、『あら、ちょっと待って』と何か話し出した。

『うん、判ったわ。おまたせ、慧？あんた帰ってこない？』

「はぁ？」

『今ばあちゃんが連休で帰ってこいって』

ばあちゃん側にいんのか？てか謎のムチャ振りしてくんなよ。

『約束通り交通費は心配するなって。なんだ、そういうことね』

いや何が？！

『帰ってくれば判るわよ。あ、薮くん連れて来なさいって！あと関わってる子？その子達も一緒にって！じゃ待ってるわよー！』

「は？いやちょっと！」

言うだけ言って勝手に切るし！

「意味わかんねぇ…」

掛け直しても無駄なので、スマホをテーブルに放り出した。

大体やぶまで連れてこいって…「関わってる子達(・)？」


え？他に誰？




そこへちょうど、鍵を開ける音が響いた。

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