久遠の白.２(ybin)

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yb.

「よし、こんなもんか」

必要な物を詰めた小さめのカバンを、ポンポンと叩き形を整える。
荷造りは出張で慣れてるし、寧ろ仕事セット一式がない分軽いもんだ。




早いもんで連休前日。

仕事の段取りはつけられるだけつけてきた。
取り敢えず大丈夫…多分。

「…大丈夫か？手伝う？」

部屋を覗けば、カバンの周りに色々散らばってる。
なんかすげぇ既視感あるな…(あ、ねぇちゃんか)。
一泊と思えない量の荷物の前で、よく悩んでたっけ。

「んん…頼んでいーい？」

床に座り込んだ伊野尾が、途方に暮れたように見上げてきた。

「おっけ。指示して？」

気力だけで踏ん張ったから、今にも沈没しそうだ。
中島にも礼を言った時、なるべく気にしておくと言ってくれたのは助かった。

(ちょっと意味不明なとこあったけど…)

やたら励まされ『出来ることがあれば喜んでお手伝いします！』とか息巻いてたっけ。
まぁ、多くを聞かないでくれるのは有難い。

「ドライヤー…は要らないんじゃない？」

「ぇええ…」

「バッテリーは充電終わったら入れとこう。忘れないようにっと…着替えこんなにいる？」

「わかんない…任せるぅ」

いつもは効率的にやってるんだが…やっぱ熱のせいかな。

「しんどいか…？」

抱き寄せれば素直に寄り掛かってくる。

(少し痩せた…よな)

言うと気にするから口にはしないけど。

「やぶぅ…」

「ん？」

「……なんでもない…ねぇ今夜シよ？」

「へ？」

そりゃ間抜けな声も出るわ！

お前ね、「明日早いし、もっとしんどくなるぞ？」

説得弱すぎ。

「だいじょおぶだし…」

微熱の原因、はっきり言ってソレ(・・)のせいもあると思う。
四人での飲み会の後、欲しがる頻度がまた増えた。けど貪る感じはなく、抱き締めるだけの時もあれば、イタす時もある。
ぶっちゃけ振り回されてるけどさぁ…。

「愛してほしいんだもん…」

これだし！男として否とは言えないだろ…！

「愛してますよ？」

「やぁ…もっといっぱい」

「荷物やんねぇとヤバいよ？」

「むぅ…じゃ、早くやって」

「はいはいお姫さま」

あ、しまったつい。

「…んふふ」

あれ？ツッコミが来ない。これ言うと大抵叩かれるんだけど。

「自分でやんねぇの？」

「わかんないもん」

「お前の荷物だろっ」

相手をしながらせっせと詰め込み終了っ。

「やぶぅ？」

手招きされ、ベッドに近付けば引き倒される。

だから明日早いんだって。
…知らねぇぞ？もう。

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