Dekigokoro・別館５

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そんなこんなで、ツアーも無事完走したある日。


「光、今夜付き合える？」
「ん？うんオッケー」

(自分の誕生日の演出を自分でするってのも何だかなぁ)

思いはしたが、オフィシャルの動画撮影や、プライベートパーティー(するらしい)と違い、これ(・・)は他人に任せる演出ではないからな。

(てか伊野尾のヤツ…どうせなら光に見せてくれりゃいいのに)

大体高木じゃあるまいし、果たして不器用な自分がスムーズに事を運べるか？





「薮？疲れてんの？」
「っえ、いやいや大丈夫」

さぁて。

自室に招いたはいいがどう切り出そう。

「シャワー、先借りてぃ？」
「えっ」
「え？」

ほんのり頬を染めていた光が、薮の間抜け声につられ一瞬沈黙する。

「ぇ？…あれ？………ちがった？」
「違わないちがわないっ！合ってるっ」

かあっとなった光が泣きそうになって、慌てて抱き込んだ。
ええいっ、こうなったらっ。

「あのさ、誕プレ。今貰ってぃ？」
「へ？」

今度はきょとんとする光の、ふっくらした唇を塞ぐ。
漏れる吐息に、オトコスイッチがオンになった。

「キスの意味って知ってる？」
「いみ…？」
「そう」

こことか、と頬。
こことか、とおでこ。
こことかね、と唇。

「親愛とか友愛とかあるみたいなんだけど」

ついっ、と首筋を降りたら、細い肢体がピクリと揺らいだ。

「ちょ、まだ」
「見えないとこへのキスってさ」
「ぅ、ん」
「欲望のままに…って意味があるんだと」

服越しに撫で上げた腰が震える。素直な光はこれだけで、息が上がったようだ。

「………いのちゃんだろ」
「へ？」
「だから、いのちゃんが入れ知恵したんだろって」

何故バレる！

図星にキョドる薮を眺め、光は「はあっっ」と息を吐ききった。

「だってあの子が好きそうなシチュエーションだもんな」

判るのか？流石ハハ(母)。

「で、薮は俺に付けたいの？…見えないとこのヤツ」
「付けたいです…」
「じゃ、シャワーさせてね？」
「はぃ」

よろしい、とばかりに頷かれ、するりと腕から抜け出され…そうになったのを引き留めた。

「ちょ、待って」
「わっ」
「あのさ」

抱き込んで耳元に口を寄せる。

「俺にも付けてよ。お前の欲望のままに」


…あれ？ノーリアクション？と顔を覗き込もうとしたら。

「ぉわっ！」
「風呂行ってくる！！」

勢いよく上がった腕を避けた隙に、今度こそ逃げられた。

「……後で行こ」

口にしてほくそ笑んだ。

多分イヤとは…言われない。

3→←蜜だらけ

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