Dekigokoro・別館５

夏の未来夢(in) ページ33

※めんそーれ妄想w


in.


ああ、夢だな。

意識した時そう思った。




白い建物を背に広がる、奥行きある庭。
繁る木々の向こうでキラキラと光るのは海。

ベンチには並んで座る二人がいる。


ゆったり、ゆったりと。

緩やかな時の中、思い出を拾い上げ話す声は穏やかに流れる。

『ずっと楽しかったなぁ』

『わたくしは今も楽しいよ？』

『そう？』

『共に居られるもの』

『そう言ってくれるのか』

『おまえさんは？』

『もちろん幸せですよ』

『そうだろうと思った』

静かに笑い合う音は、密やかに夏の庭へ溶ける。

駆け抜けてきた人生だった。
華やかさと闇が交わる世界で、仲間と共に。

切磋琢磨のなか、身と心を預けた大切な人。
寄り添い合えた時間が、今静かに満ちている。


右と左に顔を向け笑めば、互い柔らかな皺が刻まれて。


慈しみを込め口にするのは、いつの時代も変わらない呼び方だった。




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パスポートのいらない外国、国内屈指のリゾート県。


真っ白なベッドシーツに埋もれ目覚めた。


カーテンを開ければ、真っ青な空と海が眼下に広がる。

早朝なのに真夏の空気を早くも感じ、スヌーズになっていたアラームを止めた。


はっきり覚えてる夢も珍しい。

いや、夢じゃなく願望か。



仕度を整え階下に降りた。

貸し切りバイキングでは、既に入り乱れ絶賛朝食中だ。メンバー何人かが足りないのは寝坊か？

「よっ、おはよ。遅いぞ伊野尾」

「おはよやぶ」

「おはよー！今日時間取れるって！サウナ行こうな！」

「おはよ大ちゃん、おー、行く」

「いのおちゃんおはよう。それ以上白くなんないでよね」

「おはよ、やまだも行く？」

やめとく。一言で切られ、笑いながらプレートを手にした。

スタンダードな物から土地柄全開のメニューまで、目移りしながら乗せていく。

「これ旨かったよ、俺お代わり」

「そう？じゃ…さんきゅーやぶ」

乗せてくれたお礼をしながら見上げれば、ふにゃんと笑ってくれる。


「…今朝方夢見たんだ。それも取って」

「へぇ？このくらい？」

「うん。……後で話すね」

囁いて彼から離れた。







おまえ、じーさんになっても男前だったよ。



何十年かあとの、未来であればいいなと思う。








うん。


いい夢だったな。




テーブルに着く前、大きく広がる窓の向こうに目を向ける。







キラキラの水面が、










夢の中のそれと重なった。












end.

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