Dekigokoro・別館５

危険なアイテム(in+yt) ページ23

※ybin、ytym
※作中の○○や✕✕は意図的なものです。


in.

何かこう、さ。『話したい空気感』てない？
仕事中からそんな感じ全開だったから。

「いのちゃん今夜時間ある？」

明日は夕方からだよな。スケジュールアプリで確認して、裕翔からの誘いに乗ったわけですよ。




感染症流行前、メンバー同士でご飯の時によく行ってた個室居酒屋に腰を落ち着け、「久しぶりだよねー」と懐かしさに浸りつつ、一通り飲んで喋り場が和む。

「…いのちゃん、あのさ」

きた。

「うん？どした？」

「その…」

おやおやぁ？言い淀むってことは山田絡みかなぁ？




グループ内恋愛。

そんなことになっちゃってる、おれら四人。

やぶとおれ、裕翔と山田。

あ、他メンバー公認ね。
ただそうは言っても、何もかも赤裸々には出来ないでしょ。
おれらは同じ条件下ってのもあって、持ちつ持たれつな関係性なわけ。

言い淀む裕翔を微笑ましく眺めつつ、ボトルワインを手酌で飲んでたんだけど。
これイケるな。やぶと来たとき飲も。

「いのちゃんはさ…」

忘れるからラベルの写真撮っとこ。
テーブルに伏せといたスマホに手を出した所で、「見たことある？」と声が掛かる。

「何を？ちょっとごめん、これ撮って…」
「恋人のひとり○っち」

ごとっ！

ワントーン落とした声にも拘わらず、非日常なその言葉はきっちり耳に届いたわけで。

「……え？」

わーっばか！聞き返すなおれ！スマホ拾え！

「だから、一人エッ「待て待て待て！」」

何か言わせたくなくて全力で遮りました！

「…ごめん、撮るの？どうぞ」

「あ、はい」

落ち着けおれ。ほら今度やぶと飲むんだろ。

のたのたとカメラに切り替えたスマホで、無造作にラベルをパシャリ。
見てた裕翔が、こほん、と咳払いをした。

「改めていい？」

「や、あのさ裕翔？」心の準備が！

「もうね！可愛いくて辛いの！」

「…は？」

「聞いてくれるいのちゃん！」

いーやーだー！

心の中では速攻拒否ったのに、実際は後ずさっただけ。

「あんまり可愛くてエ○くて、ムービー回すの忘れちゃったくらいだよ！」

回すな！そして見るな！

これダメなヤツ！赤裸々になるヤツだ！
しかも裕翔(こいつ)、喋る気満々じゃん！




……なぁ、ここって防音だよな？

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