Dekigokoro・別館５

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yb.

「やりたいって言ったらどーすんの」

卑怯は承知で質問返し。

ほら、詰まるくせに。

「全くもう…試すな人を。こんな時まで」

「そんなつもりじゃ…」

「そこまで節操なしじゃねーの。…言ってきたってことは決定なんだろ」

「ん…」

そっか。もう覆さないか。

握り締めたままのペットボトルをそっと取り上げ、延長で引き寄せた。大人しく収まる身体は、震えてこそいないが力もない。

「ベッド行こう。な？」

返事は待たなかった。






こんな夜は温もりだけ。思い出したように唇を重ね、ただ抱く。


内部に居る我々すら、知らされない事情もある。
数日後の騒動が容易く想像出来ながらなす術もなく、発表を聞くことになるんだろう。



「…いのお？」

力が抜けたな。寝たか？
もう一度呼び掛けても、ピタリと閉じた目蓋は動かない。

肩まで毛布を引っ張り上げ、弛緩した身体を包んだ。



包めるものなら包んで、続けて行けるのかもしれない。

溢れだした何かをもう、包む気力もなくしてしまったのか。

俺らの冠番組に出た時、伊野尾がぎこちない先輩風を吹かせてたっけ。

笑いかけた時ふと過る。

(ぁあ…久しぶりに思い出しちまった)


立場も事情も違うけれど、大人達(・・・)に振り回されたあの頃を。

手放したモノ、抱え込まざるを得なくなったモノ。
子供だった俺と光は、その重さに途方に暮れた。

それが今じゃどうだよ。

間違いなく『重さ』の一端だったこいつと、こうして抱き合う仲になるなんてな。

「………」

一瞬むずがるように唸ったと思えば、更に潜り込んでくる。
気密性の高いマンションだ。人肌プラス毛布で、寒くはないと思うけど。


それとも淋しさが溢れたか。

「何だそれ」


らしくねぇよ、俺。



「いるから…」





らしくないついでの囁きを、髪に零した。













end.

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