dekigokoro-no-page 9

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kota.

「へぇ！西に行くのか？」

お菓子を頬張りながらの大ちゃんが、ウンウンと頷く。
てゆーか、お菓子好きな魚って斬新だと思う。

「あーもうそこの魚！こぼすんじゃないっ」

「いって！いてーよリョースケっ」

「黙れ駄魚(だぎょ)」

「ひどっ！」

確かにひどい。

「そこっ、笑ってないで！」

あ、とばっちり。

「でも西か…コータに合ってるかもね」

と、お菓子を飲み込んだ大ちゃん。

「そうなの？」

「うん。海もあるし、貿易が盛んなとこだからさ、色々面白いぜ」

うみ……初めて聞く。

「俺たちも春になったら西に行くから。また会えたらいいな」

「ほんと？！やったぁ！」

「向こうにも俺らが行ける森があんの」

「もしかして…ユーリ様の森か？」

「ぉう。良く知ってんなリョースケ」

「ユーリ？」

「「そう」」

異口同音の返事にちょっとのけ反ると、大ちゃんがヒョイっと首をケイに向けた。

「ケイの愛弟子その２」

その２？

「ぉう。因みにその１はヒカルだよ」

「へー、そうなんだ」

って、よく判んないけど。
二人が「判ってねぇな」「判ってないね」と言い合ってるのをスルーして、ケイをチラッと盗み見る。
ユーリ…どんな魔法使いなんだろ。ヒカみたいに可愛くてきれいなのかな。






その夜、いつものようにヒカの寝床に潜り込む。

「ぉ、狼にならないの？」

「俺こっちのがヒカを抱えやすい」

「…………はぃ」

よしっ。

いそいそと抱えればモゾモゾ落ち着かないヒカ。だから何で向こう向くのよ。
まぁ…あんまり調子乗ると寝台の下に追いやられるからな、仕方ない。

「あのな、大ちゃんも西に行くって」

落ち着いたヒカの、金色の髪に顔を埋める。

「ぁあ、何時ものコースだよ」

「ユーリって人の森があるから？」

「うんそう」

「ここくらいあんの？」

「どうかな…行ったことないし」

「そうなのか？」

びっくりしてると、背中越しでクスッと笑う。

「俺は殆ど此処を出ないからね」

事も無げに言うヒカ。そう言えば…俺が来てからも、確かに森を出て何処かに行くなんて無かったか。

「じゃあ、じゃあさ、今度一緒に行こう？！」

「へ？」

「まず俺が旅して、見聞してくる！」

そしたらヒカ、一緒に旅しよう！

そうだ！俺って天才じゃん！


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