病 弱 な お 姉 ち ゃ ん【神威】

呪縛という枷 ページ36

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_____ねえ、何時になれば私は、この呪縛から逃れられるの？_______



you side



向かってくる5匹の気配が、すぐそこまで迫る



切羽詰まったこの感覚！

追い詰められるという歓喜を！

味あわせて貰えるだなんて…暇潰しにしては上々。


暗記を振りかざす単調な猫の攻撃も
怒り狂った雌猫のクナイも
先程まで冷静だった風格な猫の刃も、残り2匹の単調な動きも、


______________私の目は捉えていた。ゆっくりと、まるでスローモーションのように。




釣り上げられた体が目の前の殺意に悦んでいるのを肌で感じながら、私は只々懐かしい過去を思い出していた。





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嗚呼…



『夜兎の神様パイを作った♪〜あついあつい日差しが刺さる真夏のこと。夜兎の子ウサギ、そのパイとった♪

怒った神様は……』



懐かしい絵本。神威に読ませたこともあった



太陽を苦手とする夜兎の神様が、真夏にパイを作って、それを悪戯な子ウサギが盗んだお話


神様は、そう…子ウサギを_____





……




……




只、そこには沈黙があった



息を整えた男は、仲間四人の顔を見回し地面に転がっているかつての仲間の首をジッと眺めて、グッと震える拳を強く握った。



仲間が四人も犠牲になった。
彼らは誰も優秀な暗殺者だったのに
チームを組んで、いろいろ衝突もあったがそれでもどんな任務もこなしていた。
それが、一人の少女によって壊された


…けれどその少女ももう生き絶えた

先程己の手にかけて、仲間と共に。





ワイヤーで釣り上げた彼女の身体は今も尚空中に浮かんでいる。
真っ赤な服、滴り落ちる血、肉をそぎ落とし、肩から胸元まで深く入った仲間の刃の跡。
腹部を貫いた太い大刀。
どう見ても致命傷だった。
彼女の真下には大きく血の水溜りが広がっている。
これを他者が見れば気絶するぐらい悲惨な光景だろう。早く死体を片付けなければいけない。





…一つ聞きたいことがあったが、今更何を言っても遅い、か。





速やかに死体を処理しなければ、そう思い仲間に声をかける。二人に彼女を吊るしていたワイヤーを解くよう命じた。



そして数秒彼女を見つめ背を向けた。
耳に聞こえるは、ワイヤーの解かれる音だけ。

糸の切れた人形のように動かない彼女をもう一度だけ振り向き見た







そう、振り向いた筈だった






だが、その時点で何もかも遅かったのだろう






““うふふフフ””






愉快そうに笑う女の声を聞いた瞬間
視界が反転した。

バトンタッチ→←紫煙の残り香

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