-6 ページ6
◇..
学院の図書館の近くにある防音の談話室。俺とひとらんはその一室に入った。
席につき、そうそうに口を開いたのはひとらんの方である。
「俺の勘違いだったら申し訳ないんだけど、昨日の夜中、Aさんらしい人を商店街の裏道で見かけたんだ。」
「夜中に…一人でか？」
「それが、Aさんともう二人で…なんだけど、その一人が………」
ひとらんが眉間に皺を寄せ、言葉を詰まらせた。誰だ、と俺が問いかければ、重い口を開き出てきた単語に俺は耳を疑った。
「魔女…なんだ。男の。」
「…どういう事だ。」
「Aさんが俺の店に来た時に話したんだけど、俺、前に魔女に会ったことがあるんだ。で、その魔女が、Aさんらしい人と、フードを被った男と歩いてた。急ぎで店に在庫確認しなきゃならなくて、それが終わった帰りに見かけたんだけど…Aさん、何か変わった様子とかない？」
魔女か…昨日はワルプルギスの夜だった。集会に参加しなかったAの元に押しかけてきたのか？
「その魔女、そんな悪い奴じゃないんだ…少なくとも俺が会った時は…。でも、あんな夜中に普段人間が居るようなところに出歩いてるんなんておかしいと思って…」
これは、話さなければならないか。
ひとらんの話を聞く限り、こいつも魔女を拒否するようなやつじゃないだろう。
「…ひとらん、今から話すことはここだけの秘密にしてくれ。」
「…なに？」
「Aも…紛れもない魔女だ。」
そう告げれば、ひとらんは一息つく間にそうか…と小さく呟いた。その表情は予想に反して、どこか落ち着いているようである。
「あの不思議な感じ…魔女だったのか。Aさんと会った時、あの魔女と似たような感覚になったんだ。」
「このことは俺とエーミールしか知らない。それを頭に入れて置いてくれ。…話を戻すが、朝からAの様子がおかしい。恐らくその話が関係しているだろう。」
「やっぱりあれはAさんだったのか…。」
「魔女が関係しているとなると大っぴらに捜査は出来ない…すまないが、何かあった時にお前に応援を頼むかもしれない。」
「ああ、その時は遠慮なく声掛けて。特別何か出来るわけじゃないけどね。」
「いや、助かる。ありがとう。」
その後、俺はひとらんと別れて駆け足で自宅に向かった。
夜中、家を出たAが商店街に。
朝から様子のおかしい彼女。
ひとらんの見かけた人物。
今朝、俺と話しをした彼女は……
あいつは、誰だ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルルリパ - 返信ありがとうございました、誤字じゃなくてよかったです。(o´∀`)b (2020年6月9日 21時) (
レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - ルルリパさん» すくなく、であってます！私も詳しくは分からなかったので調べてみたら『少なく』でも『少く』でも大丈夫らしいです！細かいところまでご指摘して頂きありがとうございます！ (2020年6月6日 22時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
ルルリパ - あの、第十二話の三の『少く』って、『すくなく』ですか？知識不足ですいません、キーボードで入れたら、『少く』も出てきたので、誤字かわからなくて………… (2020年6月6日 22時) (レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
ルルリパ - 私みたいなそこら辺の一般人の声が届いて良かったです！これからも頑張ってください！ (2020年5月31日 22時) (レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - ルルリパさん» あー！ありがとうございますー！コメントとても励みになります！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
