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◇.
魔女殺しの魔女。
同族殺しは、同族に恨まれる。
それは月明かりの眩しい、夜だった。
こんな日は、家でお茶でも飲みながら空を見上げて、本でも読みたい。そして疲れたらベットに沈んで、目を瞑って、素敵な夢を見たい。
そんな幸せを、何年も夢みている。
暗い森の中を必死に走った。自分が今、どこにいるのかは分からない。でもとにかく、逃げなくちゃならない。
殺されたくない、殺したくない。誰にも、誰も。
木々が開けて、目の前に古びた屋敷が現れた。数日前にもここに来た記憶がある。恐らく私は数日間この辺りを逃げ回り、また戻ってきてしまったのだろう。そう考えながらも、急ぎ足で屋敷に入り込み二階の角の部屋まで逃げ込んだ。
扉を閉めて大きく息を吸う。肺に送られてくる空気は暖かかった。この屋敷は、どこも暖かかった。
陽の光を集めたように、私の冷え切った指先を、屋敷の空気が包み込む。休まる身体とは裏腹に、気持ちはどうも落ち着かなく、それから目をそらすように瞼を閉じた時。
「母さん？」
ハッとして顔を上げると、クローゼットから子供が顔を出していた。
金の髪と、青と赤のオッドアイ。その赤い瞳に、数日前のこの屋敷での記憶をえぐられる。
あの魔女の、子供………？
きっとあの魔女の死に際に魔力を貰ったんだろう。その影響が片目に出ているんだ。
冷静に考えたところで、息が詰まる。
それならば、この子も紛れもない。"魔女"だ。
殺される。
殺してしまう。
「こ、来ないで…！私は魔女よ。近づかない方がいい。」
しかし、その子は私の言葉を無視して私のすぐ近くまで近寄ってきて、言った。
「貴女は違う！
他の魔女たちとは、別の目をしている。」
まっすぐ、純粋な瞳が私を貫いた。
殺される前に、やはり殺すしかない。
そんな私の中の決まりが、消え去っていく。
この子は殺してはいけない。
殺したくない。
そんな決意が芽生えたと同時に、私はその子を強く見つめ返して、術をかける。溜め込まれた魔力が、私の紋章を光らせていた。
「あなたは森を降り、人間を探し、助けを求めなさい。そして、今までの一切を忘れなさい。途中、魔女や悪魔に見つかってはなりません。速やかに、森を降りなさい。」
その後、操られたように部屋を出ていく子の背中を私はただ見送り…__________
「本当はその子の魔力も欲しかったんとちゃうのか？」
意識が、引っ張られる。
最後に見えたのは、細く笑う深緑色の瞳だった。
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ルルリパ - 返信ありがとうございました、誤字じゃなくてよかったです。(o´∀`)b (2020年6月9日 21時) (
レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - ルルリパさん» すくなく、であってます！私も詳しくは分からなかったので調べてみたら『少なく』でも『少く』でも大丈夫らしいです！細かいところまでご指摘して頂きありがとうございます！ (2020年6月6日 22時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
ルルリパ - あの、第十二話の三の『少く』って、『すくなく』ですか？知識不足ですいません、キーボードで入れたら、『少く』も出てきたので、誤字かわからなくて………… (2020年6月6日 22時) (レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
ルルリパ - 私みたいなそこら辺の一般人の声が届いて良かったです！これからも頑張ってください！ (2020年5月31日 22時) (レス) id: 422dd95f78 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - ルルリパさん» あー！ありがとうございますー！コメントとても励みになります！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
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