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結論から言おうか。結局あの日蝶は見つからなかった。
そうだと言えばそうなのだが。やはりあの天気の中、宛もなく数センチの虫を見つけて捕らえるなんて不可能に近い。
日が暮れる頃までエーミールさんと探した。それはもうあちこち。近所の公園から林の中まで、蝶がいそうな場所はできるだけ探したが、クジャクヤママユの影もなかった。
そして現在翌日の午前7時頃。再び窓ががたがたと揺れる音で目を覚ましたのだが、昨日と違うのは外の騒がしさだった。まさかと思いカーテンを開けると、外はとんでもない荒れ模様だった。
｢いやいや…これ休校だろ｣
そう思いメールの受信欄を開けば案の定学校からの一斉メールが届いていた。内容はもちろん、休校の知らせ。さすがにこんな暴風雨の中登校しろなんていう鬼畜学校ではないらしい。
いつもならこのままやったぜ！二度寝しよ！の流れなのだが、私はカーテンの裾を握ったまま外を見つめていた。
エーミールさんの蝶は、クジャクヤママユは無事だろうか。
もしかしたら…なんて余計な思考を振り払ってきっと無事だと自分に言い聞かせる。彼の思い出の蝶なのだ。そして、おそらく魂が宿ったその蝶はそんな簡単に死にはしないだろう。
ともかく今日は大人しく起きるかと寝巻き姿のまま洗面所へと行こうとした時、一階から母が私を呼ぶ声がした。はーい、と大きく返事をして母がいるであろうリビングへと向かう。
リビングに行くと母がキッチンで丁度焼いたパンに目玉焼きをのせているところだった。
｢あんた今日、学校休み？｣
｢そうだよ。さすがにこの天気じゃね｣
｢そうよね。私も今日は一日家にいるから、何かあったら言いなさいよ｣
話しながら一人分の朝食しかないことに気がつく。お母さんはもう食べたのだろうか。そう思っていたら母は一つ大きな欠伸をしてそのまま席につかずにどこかへ行く。
｢お母さんは食べたの？｣
｢いや、まだだけど。もう少し寝ようかなって｣
｢二度寝かい｣
私のだらけがちな性格はきっと母に似たのだろうな。なんて思いながら自室へと帰っていく母を見送って、私は席についてパンにかじりついた。
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