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たしかきっくんも海外からこちらに渡ってきたと言っていたが、意外とそういう人も少なくないのだと実感する。とはいえ、今聞いたエーミールさんときっくんの二人だけしか知らないが。
｢14歳までってことは、中学から日本に来たってことですよね｣
｢はい。15になった年に一学年遅れて転入したんです。ですので中学二年生からですね。その中学校で、グルッペンさんとトントンさんと出会ったんですよ｣
｢え、あの二人とですか？｣
思いもよらぬ名前が出てきてそう聞き返す。まさか中学からの級友だったなんて。
｢トントンさんは元々日本にいたらしいんですけど、グルッペンさんは俺と同じドイツ出身らしくて。そこで意気投合して、今に至るって感じですね｣
｢はえー…あの人ドイツ人の血が混ざってるのか。どおりで…｣
通りで人とは一線を画す風格なわけだ。とまでは口には出さなかったが、エーミールさんには何となく伝わっていたようで｢他の人は違いますよね｣なんて笑いながら返された。
｢あの人、中学の頃からあんな感じでしたから。良くも悪くも目立ってましたよ｣
｢よく話すきっかけが出来ましたね…私なら声もかけませんよ｣
｢グループワークか何かの時に向こうから声をかけてくれたんです。それで、話してみたら面白くて博識で、とてもユーモアのある人だったんです。俺とは違って｣
違って、なんて。どうして自分を下げるんだろう。エーミールさんだって、とても博識であると思うけど。
｢エーミールさんも頭良さそうじゃないですか。知識人というか｣
そう素直に口にすると、エーミールさんはいきなり黙り込んで静かに前に向けていた視線をこちら移した。もしかして、何かまずい事でも言ってしまったのかと思わず私も見つめ返して、ふと、気づく。
あれ、この人＿＿＿カラコンしてる。
話を聞くに彼もドイツの血が混ざっているだろうから、瞳の色が薄いのだと思っていたけれど。そうじゃない。
｢＿＿＿見えますか、そんなふうに｣
その瞳がすっと細められて、彼は薄く笑った。
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