27 ページ28
.
少しふらついて壁に手をつくと、彼が手を差し伸べようとしたのが見えた。が、彼はすぐに手を引くと、私から一歩離れてしまう。
「血吸ったから…ちょっとふらつくかも………平気？」
「…はい、大丈夫です……けど…」
恐らくだけど、彼は泣いてる私を見て頭が冷えたんだと思う。…ダメだ、騙されるな。手酷く扱った後に急に優しくなるなんて、そんなの俗に言うDV男の典型的なやつじゃないか。
しかし、途端に私に手を出してこなくなり、更には距離をとった彼を見て、私の良心が少しだけ傾いてしまった。
「………階段の手すりだけだと心もとないので…非常口から出るまで、手貸してくれませんか」
「…えっ……いい、けど」
「ありがとうございます」
恐る恐る差し出された彼の手に、今度は私から手を重ねて握り、2人で階段を降りていく。
半分降りた辺りで、彼がぽつりと話し出した。
「…女の子初めて泣かせた」
「そりゃ…泣きますよ。めちゃくちゃ痛かったし」
「マジでごめん………俺の爪剥がしていいよ」
「いや…いやいやいや…！さすがにやりませんよ！それに、先輩、多分…」
＿＿＿＿多分、彼はもう、吸血鬼ではなくなっている。
私の推測はこうだ。
「……私の血の影響で、先輩の吸血鬼としての能力が祓われたんじゃないでしょうか」
「多分…俺もそんな気がする。今A怪我してるのに、全然血の匂い感じなくなったし」
そんな話をしながら、足取りもしっかりと、非常口の出入口につくと、私たちはそこで手を離してショッピングモールに足を踏み入れ、休憩スペースになっている場所に向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーや(プロフ) - reoru(テイル)さん» コメントありがとうございます！Kさん推しなんですね…！同士の方とこうして出会えて感激です〜！次回作もぜひお願いします(*^^*) (2021年10月19日 21時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - 管理人さん» コメントありがとうございます！前作から見て下さってるんですね…！とても嬉しいです！次回作もよろしくお願いします(*^^*) (2021年10月19日 21時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
reoru(テイル)(プロフ) - 完結おめでとうございます！推しだったので、死にかけ(尊死)ながら読んでました。次回作も死なないように頑張りますので、体調に気をつけて頑張ってください！ (2021年10月19日 15時) (レス) @page33 id: 4d94c0fd69 (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - なーやさん完結おめでとうございます！Fさんのから見ていますが、今回のもすごく良かったです！次回作も楽しみにしてます！ (2021年10月19日 7時) (レス) @page33 id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
