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あ、と開けられた彼の口の中を見る。すると、確かにそこにあったはずのあの鋭い歯が無くなり、ただの人間の平らな歯が並んでいた。
「え、えっ！？まじ？ちょ、ちょっと、え？」
慌てた様子で彼は自分のスマホの内カメで口の中を確認する。でも無いものはもう無い。
すると彼は何を思ったのか、今度は私の口の端に親指を引っ掛けて口を開かせてきた。
「ちょっ、あ、え、？」
「無い…………吸血鬼になってないじゃん！！」
そう彼が声を上げた時、下の方から扉の開く音がして、二人してすぐさま口を抑えた。
「誰かいるんですか〜？」
男性の声。きっとショッピングモールの関係者だろう。ここで何をしていたのかなんて、この状況を見て聞かれたら確実に勘違いされてしまう。
息を潜めてやり過ごす。すると、その人はそれ以上何も言わずに、非常口から足を踏み入れる様子もなく扉が閉まる音がして、ほっと肩の力を抜いた。
それから数秒、2人で黙り込んでいたが、このまま何もせずにこの場所に居座る訳にもいかないため、ぽつりと呟く。
「………とりあえず場所変えませんか」
「………うん。あ、止血してあげるよ。俺できるから」
「…それ口でやるとか言いませんよね？」
「え？そうだけど」
「いいです、大きめの絆創膏持ってるんで」
すん、と泣きながら鼻をすすり、バックからゴソゴソと絆創膏を取り出す。思ってたより痛くて柄にもなく泣いてしまった。首元だから貼りにくいな、そんなことを考えているとそこでも彼は申し出てきた。
「貼ってあげる」
「い、いいです、自分で貼ります」
「っ………もう何もしないよ」
先程までの威勢はどこへ。私の顔を見た彼ははっとすると、いつになく大人しくなった。そんな彼を見て、少しだけいたたまれなくなった私はじゃあ…と絆創膏を渡す。彼は受け取ったそれを手際よく傷口に貼ると、そのまま無言で私の服を整えてボタンを一番上まで締めた。
そしてそのまま立ち上がると、座り込んだままの私を見て言う。
「…怖かったよね、ごめんね」
しゅんした様子でそう謝った彼を見て、私は目を逸らしながらゆっくりと立ち上がった。
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なーや(プロフ) - reoru(テイル)さん» コメントありがとうございます！Kさん推しなんですね…！同士の方とこうして出会えて感激です〜！次回作もぜひお願いします(*^^*) (2021年10月19日 21時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
なーや(プロフ) - 管理人さん» コメントありがとうございます！前作から見て下さってるんですね…！とても嬉しいです！次回作もよろしくお願いします(*^^*) (2021年10月19日 21時) (レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
reoru(テイル)(プロフ) - 完結おめでとうございます！推しだったので、死にかけ(尊死)ながら読んでました。次回作も死なないように頑張りますので、体調に気をつけて頑張ってください！ (2021年10月19日 15時) (レス) @page33 id: 4d94c0fd69 (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - なーやさん完結おめでとうございます！Fさんのから見ていますが、今回のもすごく良かったです！次回作も楽しみにしてます！ (2021年10月19日 7時) (レス) @page33 id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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