【厨二】オオカミ逃亡記【F】 (ページ7)

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一度教室に戻った私はお弁当を手に、普通棟四階の西階段に居た。
そこには既に先ほど話をしていたあろまさんと、今回の主役FBさん。そして、見覚えのある顔とない顔が一人ずつ階段に腰を下ろして居た。私含め計、五人がその場にいる。
彼らは普段、ここで昼食を取っているらしい。屋上への扉は施錠されているため、付近の踊り場という薄暗い場所だ。

「お！来たー！FBのカノジョ！」

「きっくんやめろ。違う。俺よりAさんに迷惑だから」

ランチタイムだ。
あろまさんは一緒に昼食を取り、FBさんの近くで自ら観察して情報を得ろと言った。オオカミの件については話していないらしいが、FBさんがオカ研に何かしらの依頼をしたということだけ、彼らは把握していた。

「で、何やらかしたの？」

「そうやって誤解を生む言い方は良くないと思いまーす」

「そうだぞえおえお！お前、人生で一度もやらかしたことないのかよ！」

「あー、ナイヨナイナイ」

「思考を放棄するなよ！」

「えっと…」

私と面識が無かったうち、見覚えのあった一人は、きっくん(さん？)。この学校の生徒会の副会長サマである。あの強面バリトンボイスの会長とはまた別種のイケメンとして、校内で知らない人はいない。少しばかり性格に難アリという噂がある。
見覚えのなかった一人は、えおえおさん。彼の口からは名前とクラスしか聞かされなかったが、横槍で寝坊助とうどんと強者というクセつよ三拍子が揃った。FBさんのイツメンとやらは、この三人であろう。

「Aは俺らと飯食ってて良かったの？俺は全然だいかんげーだけどね！」

「ええ、まぁ…特に約束している相手がいるわけでもないですし」

きっくん…さん…いや、もうここではさんは付けないでいこう。きっくん、正直言えば苦手な部類なのかもしれない。何が嫌とか、ここがいけ好かないとか、そういう訳ではなく…第六感が彼は敵だと警鐘を鳴らしている。彼のような陽のあたる場所にいる人とはそもそも相性が良くないのだろう。というか、いつの間にか名前で呼び捨てされているのだから、彼は完璧陽のキャラである。怖っ。

「ふーん、そっか。じゃ！とにかく食べますか！」

きっくんとFBさんはお弁当、あろまさんとえおえおさんは購買。それぞれが自分の昼食に手をつけた。

まず鼻をついたのは、香辛料の香りである。