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放課後、急ピッチでFBさんの家に向かった。とはいえ私ごときの体力ではせいぜい小走りが限界だが。こういう時に文化部だということを思い知らされる。
辺りは赤く染まり、じきに暗くなるだろう。FBさんは不審者を気にしていたが、今はそれどころでは無い。彼は無事だろうか。
連絡するだけして、坂本さんと西郷さんの姿は未だ見えない。別に待ち合わせをした訳でもないのだが、緊急事態に備えて彼らにも手伝って欲しかった。
もう息も切れてきて、曲がり角の電柱に手をつけながらその先へ歩みを進めた時だ。
背中を走り抜ける悪寒。
足を止めたものの、その先に待ち受けていた光景に、息も止まりそうになった。
「っ…！」
FBさんは依頼時に数百匹のオオカミを見たと言っていた。それに先日私が見たのも、多く見積っても三百匹程度だったはずだ。
だが、今この光景は、どうだろう。
数百なんて数じゃない。軽く千を超えるオオカミの群れが、鋭い眼光でこちらを見据えていたのだ。
そう、私を、見ていた。
この間は見向きもされなかったのに。今は私が来るのを分かっていたように、オオカミたちは姿勢を低くして、今にも飛びかかってきそうな殺気を立たせ、一匹残らず私を見ていたのだ。
彼らは今、
それを自覚した途端、ふっと足腰の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
そして、それを合図とするように、オオカミたちが一斉にこちらへ走り出してくる。
その光景がスローモーションに見えて、私はただ呆然と眺めているだけだった。
しかし、頭上から黒い影が降りてきて、私の目の前に盾のように立ちはだかる。
顔を上げて、彼を見る間もなく、私はその人に抱き抱えられて、そして。
空を飛んだ。
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