1.えふびーウルフ ページ1
.
この世には少なからず、孤独というものが存在する。
それを実感するのは、多くの場合学校生活が主だろう。登校しても、話す相手がいない。となると、もちろんお昼に弁当を囲む相手も、放課後にカラオケに行く相手もいない。
しかし、今どきそこまでガチのボッチとやらは少ないのではないだろうか。友達は多くなくとも、片手ほどであれば友達と呼べる相手がいる人がほとんどだろう。
つまり、ボッチとはキャラである。
「Aさん、助けて…！」
そんなボッチの称号を持つ、一人の人間がやってきた。
【えふびーウルフ】
昼休み。
特別棟四階。
の、隅っこの、オカルト研究部、部室。
今日も今日とて部室には私一人。顧問だって校舎で見かけたことはこれまでに二回しかなく、未だにこの部活が廃部だと潰されないのが不思議で仕方ない。私の他に部員があと二人居るのだが…まぁ、それは後々に回すとして。
鞄の中から某ゲーム機を取り出して、某イカの陣取りゲームを起動する。職員室でしか飛ばされて居ないはずのWiFiが何故かこの遠い部室まで引っ張られているのは恐らく、先程言った例の二人の仕業だろう。部室の壁にはられたWiFiのパスワードを入力して、私は今日も平然とした顔でゲームに打ち込む。
その予定であったのだが…
「えっと…」
あるだけの記憶を探る。が、彼を見た記憶は見当たらなかった。ふと足元に視線を落とせば、彼の履いている上履きは黄色。おっと、三年生か。
私の高校では学年によって色分けがされている。一年生は青色、二年生は赤色、そして三年生が黄色だ。ちなみに、私が履いているのは赤色の上履きで、つまり、今やって来た彼は三年生で私の先輩ということになる。
「すみません、お名前を伺ってもよろしいですか？」
「あっ、は、はい、すみません…三年B組のFB777と言います。オカルト研究部のAさんですか？」
「そうです。えっと…助けてって、どういう事ですか？」
何となく察しはついていた。こういう事、実は少なくないのだ。オカ研が廃部にならないのには、この事も関係しているのではないかと思うのだが、それは何かと言うと、
怪奇現象である。
「オオカミに襲われまして…！」
違うそうじゃない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
