【d!】乙女ゲームにトリップとかそれなんて夢小説？【all】 (ページ7)

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それから30分ほどして、やっと例の人がやって来た。カフェオレ色のその人は私の前まで来ると、ご丁寧にも深々と頭を下げる。

「こんにちは、侵入者さん。エーミールと申します」

「ここっこ、こんにちは…」

やはり彼もゲームの通り、姿も声もそのままだ。緊張と感動でコミュ障みたいな返事をしてしまう、やめろ別にこここ、コミュ障じゃないし。
彼は廊下の端に置いてあった椅子を持ってくると、私のすぐ目の前で椅子を置いてそこに座る。

「部屋の奥に椅子があるでしょう？お話聞きますから、貴女もここに持ってきて座ってください」

「は、はい！」

オスマンからの温度差に涙が出そうになる。なんだエーミール仏か？彼に言われた通り、奥に置いてあった椅子を持ってきて、彼と向かい合うように座り、話を始めた。

「オスマンさんから聞きましたけど…貴女、別の世界から来たんですか？」

「そうです。信じて貰えないと思うんですけど…ここ、私がプレイしてたゲームの世界なんです」

「ゲーム…どんなゲームなんですか？」

「ｱﾞっ…えっと…」

恋愛シュミレーションゲームです。

なんて言えるかよバカヤロウ！！！！！

でもちゃんと本当のことを話さないと、いくらエーミールとはいえ疑われてしまうだろう。自分は嘘をつくのが苦手だ。

「登場するキャラクターの好感度を高めるゲームです」

嘘はついてない、ついてないぞ…
私の言葉にエーミールは少し唸ると、質問を重ねた。

「登場するキャラクターって、もしかして私たちのことでしょうか？」

「そ、そうですそうです！」

「だから、ロボロさんや私の名前を知ってたんですね」

「その通りです！」

なるほど…と彼はメモを取り出して私の話を書きとっているようだ。真面目だなあ…彼のハピエンルート、キャラの中でもとくに大人びてて穏やかなエンディングだった。