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自白剤とは、文字通り人に本音を吐かせるための薬である。ゲームで飲む選択をすると、オスマンに少しだけ信用してもらえるのだが…これが現実だと仮定すると、私は生身の人間だ。得体の知れない薬は飲みたくない。
「そんなもの飲まなくてもすべて話します」
「ふーん…まぁええわ。聞くだけ聞いたるから、話してみ？」
オスマンは我々国屈指の外交官だ。彼に嘘は通用しない。アホらしく思われるだろうが、ここは素直に話した方が身のためである。
「あの、信じてもらえるか分からないんですけど、私、別の世界からやって来たんです」
「へぇ、別の世界。それで？」
「えっと…元の世界でゲームをしてたんですけど、いつの間にか目が覚めたらここにいて…恐らくゲームの世界に来ちゃったんです」
「ここがゲームの世界やって言いたいん？」
「そ、そうです」
あれ…オスマン意外と話聞いてくれるな。もっとツッコまれると思ったんだけど。もしかして信じてくれてる？
「信じてくれますか？」
「いや、一つも。まず自白剤飲んでへん時点で信頼には値せんわ」
「エッ…じゃあなんで話聞いたんですか」
「いやぁ、どんなほら話してくれるか思ってな」
「ほら話…」
流石3強の一人。ひとつもなびかない。
やっぱりオスマンじゃ私の話を聞いてくれそうにない。確かここで出てくるキャラってオスマンとロボロともう一人いたよな。彼なら真面目に話を聞いてくれる、気がする。
「あの、監視係ってあなたとロボロさんともう一人居ますよね？」
「…なんでロボロの名前と監視員把握してんのや」
ｱｯ…地雷踏んだくさいなこれ…でも、これで私の言ってること信じて貰えないかな。
「そのもう一人の名前もわかる？」
「分かります。エーミールさんですよね」
「…今呼んだるから待ってろ」
肯定も否定もせずに、オスマンはその場を去った。その背中を眺めながら、私は未だに現実みを帯びない感覚から目覚めようと頬を叩いた。
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