【d!】乙女ゲームにトリップとかそれなんて夢小説？【all】 (ページ4)

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硬く冷たい感触に目を覚ます。

あれ、私さっきまでゲームしてたよな。え？あんだけエナドリ摂取しておきながら寝落ちした？嘘だろ？今何時だ。

ゆっくりとまぶたを開けて、私は絶句した。

目の前に現れたのは、重々しい空気を漂わせる鉄格子。私が横になっていたのは石床の上。

ドコ？ココ？

何も理解できないうちに起き上がろうと腕を動かすと、鉄が擦れる音が聞こえてきた。
まさかと思いつつ腕に視線を移すと、私の手首には手錠が付けられており、チェーンの先は奥の壁につながっている。

そこで私は一つの既視感を覚えた。

目が覚めると、独房の中にいる。
両手首に手錠。
鉄格子の先に見える洋装のライト。

一度も体験したことの無いはずのこの状況を、私はとてもよく覚えている。

「………ぃぃいやいやいやいや、待てよ…？怖いくらい見覚えがありすぎる」

夢か？そう私が取り乱すさなか、天井に取り付けられていたスピーカーから聞こえてきた声に、私は思わず卒倒しそうになった。

『やっと起きたか侵入者』

その声に、私の予想が確定された。

間違いない、このセリフ…「宣戦布告」の最初のシーンだ。
私がプレイしていた乙女ゲームのストーリーは、主人公が別の世界へトリップする所から始まる。そのトリップ先こそ、12人のキャラ達が待つ、我々国だ。そして、主人公が最初に目を覚ます場所こそ、彼らの住む城内にある牢獄なのだ。

ヤバい。ゲームのやりすぎでまさかこんな完成度の高い夢を見れるなんて。これがあのゲーム通りならば、今スピーカーから聞こえてきたこの声は、我々国の監視長を務める"ロボロ"だ。

『お前が深夜に城内の森林で倒れていたところを発見しここまで連れてきた。所持品はパスポートは愚か身分証明書も無し。調べたが、お前がこの国に存在するという情報も一切あがらなかった。お前…敵対国の捨て駒か？』

あああああすごい、本物だ。いや夢なんだろうけど！！この再現度はヤバすぎる！！一言一句違わないなんて…
ハッとして、私は彼の質問に答える。

「わ、私にも何が何だか分からないんです！敵国の人間なんてものではありません！」

『…あくまでしらを切るつもりか。まぁええわ。今のお前のところに一人向かわせてる。そいつの指示に従え』

プツリとスピーカーが切れる。
そして、コツコツと靴音を鳴らしながらやってきたのは…