【d!】乙女ゲームにトリップとかそれなんて夢小説？【all】 (ページ17)

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あ〜そういえばゾムってじっとしてられないタイプだったな〜、子供みたいで可愛いよな〜、なんてゲームのことを思い出していたら不意にちいさく声がきこえた。

「あと…あの…」

「どうしました？」

ちらりとこちらを見た時、彼の黄緑色の瞳が少しだけ見えた。視線は合わなかったが、宝石みたいでめちゃくちゃ綺麗だ。

「森から運んだとき………めっちゃ強く縄で縛ってしまってん……」

「そうだったんですね。目が覚めた時にはもう縛られてなかったので知りませんでした」

縄じゃなくて鎖だったからな。そんな余計な一言は飲み込んで、彼の先の言葉を待っていると、本当に聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った。

「せ、せやから…その………すまんやで…」

か、

可愛いかよ！！！！！

叫びそうになってすぐに口を抑えた。驚いたゾムがどうしたのかと声をかけてくれるが、待ってくれと意味もわからず静止の声を上げる。
これはゾムルートなのか！？こんなイベントなかっただろ！てか今の絶対スチル取得できるシーンだろ！恥ずかしそうに小さく謝る健気なゾムとかそんなん発狂ものじゃないですか！ありがとうございます！！

一度大きく深呼吸をして平静を装う。

「ｯｽーーー…いや、全然平気ですよ！この通り痕もありませんし」

「な、ならよかったんやけど」

「みんな解散したのにわざわざ言いに来てくれたんですね」

「っ…！え、あ…その………」

私の言葉に顔を上げたゾム。その時に目が合って、ほんの少しだけ見えた彼の顔は明らかに真っ赤に染っていた。

「じっ…じゃあおれもう行くわ…！」

そう言うと彼は飛び出すように部屋を出て行ってしまった。あまりの速さに反応が遅れるも、扉の先を見ると既に彼はその場にはいなかった。逃げ足が早すぎる。