【d!】乙女ゲームにトリップとかそれなんて夢小説？【all】 (ページ14)

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なんだここ天国か。

トントンに案内されてやってきたその部屋にいたのは、イケメンだけ。右を見ても左を見ても前を見ても全員輝いて見える。逆ハー最高か。

広めの部屋には大きな長い机。そこにトントンを含め11人が既に席に着いていた。

本当に見事に顔の整ったキャラしかいない。そりゃそうだ乙女ゲームだし。それぞれキャラの立った衣装を身にまとい、一人としてキャラ被りがいないのが素晴らしい。
そう考えてふと、自分の姿を思い出す。髪はそのまま。顔も一般並。なんなら服はお借りした少しオーバーサイズのTシャツと短パンだ。この歳になって人前でこんな格好…。今某キャラクターが頭の中で問うてくる。そんな装備で大丈夫かと。
私は答える。大丈夫じゃない、大問題だ。

「もう全員話は聞いてると思うけど、この人がAAさんや。ゾムが拾ってきたんやけど、どうやら異世界人らしい。ここでしばらく住むことになったから、把握しとけよ」

トントンが私の隣で簡単に説明してくれた。待って、え？私ゾムに拾われてここに来たの？森で倒れてたとか言ってたけど、もしかしてゾムが第一発見者なの？え？なんで寝てたん私、起きろよ。

そう思いながらも、慌てて頭を下げる。

「ご、ご紹介にあずかりました、AAです！ご迷惑かもしれませんが、よろしくお願いします…！」

よろしく、と返答してくれる人もいれば、怪訝な視線でこちらを見るだけの人も。そりゃそうだ。いきなり異世界人がやって来て今日から一緒に住みます、なんて怪しさ満点である。
いたたまれなさで精神的HPがゴリゴリ削られていく。誰か助けてくれ。そう静かに願った時、奥の扉からある人物がやってきた。そういえば攻略キャラは12人だからあと一人足りないけど、まさか…そう思いつつ下げていた頭を上げてその扉を見た。