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それから数分、特に会話もなく隣り合わせで桜を見ていた。公園の桜はまだ蕾だらけで、華やかさに欠けている。公園の外の桜とは恐らく種類が違うのだろうなと、どうでもいい様なことを考えていた。
そっと彼女の顔を見ると、これといって診断書について思い詰めている様子でも無かった。不可抗力とはいえ、その事実を知った俺に泣きつかれても正直困るので、彼女のそういう強いところも好意的に見ていた。
「まぁ、なんや。来年度からまた同じクラスなんやし…なんか俺に出来ることあったら言ってくれや」
もう二週間後には期末テストがあり、それを終えれば卒業式で春休みを挟み、俺たちは二年生になる。毎度毎度テストはいい点数とは呼べないので、今回は少しだけでも平均点をあげたい…気持ちだけはある、やるかはさておき。
スマホで時間を見ると診察時間が近づいていた。ベンチから立ち上がる。
「そろそろ行かなあかんねん」
「あ、うん。ありがとう、コネシマくん」
時間に迫られていたが、この機会を逃したくは無かった。
このまま去れば、俺と彼女はまた今まで通りのただのクラスメイトになるだろう。少しでも、彼女との距離を縮めたかった。
「…なぁ、コネシマくんって、呼びづらくないんか？」
「え？そうかな」
耳が熱い。言わなきゃ良かった、少しそう思ったけど、今更取り消そうとも思わない。
今までなら、見てるだけで充分だった。でも、彼女の真実を知ってしまった。現実的に考えれば、もう、時間は少ない。
このままでいいのかと、過去の自分を見て問い掛ける。
好きだとか愛だとか、信じたことはなかった。
でも恐らく、自分の奥に芽生えたこの気持ちは、正しく不信のそれなんだろう。今からでも、遅くないかもしれない。
「長いし…呼び捨てしたらええやん。俺も…Aって呼ぶから」
この心を埋める手筈は、整った。あとは、踏み出すだけ。
「じゃあ………シッマって、呼んでもいい？コネシマくんの仲いい人たち、皆そう呼んでるしさ」
「…おん、ええんちゃう。好きに呼べや」
「うん、ありがとう。来年度もよろしくね、シッマ」
彼女が笑顔で手を振る。
それに小さく頭を下げて、池沿いに公園の出口まで歩いていく。ざわり、桜の木が風に揺られて、波打った。
春は始まったばかりである。
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なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
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