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大先生はいつもの表情で、しかし至極真面目な口調で言った。
「僕も特別何か出来るわけじゃないけど、さ。なんかあったら遠慮なく言ってな？」
『…うん、ありがとうね、鬱』
「今日こうやってその事を落ち着いて話せるだけ大したもんよ。でも、あんまり強がりもよくないからな？」
確かに大先生が言うことに一理ある。
しかし、いつもの調子に見えていた彼の顔も、よくよく見れば少しだけ涙が浮かんでいて、あの減らず口も震えているようだった。
俺はと言うと、今は悲しい感情よりも、いきなり外に投げ出されたような感覚が大きかった。比べると、彼も一概にクズとも言えないのだ。
『もう分かってたみたいなとこあるし、誰のせいでもないから全部受け止められたよ。こうやって話聞いて気遣ってくれる人もいるし…ね？』
「Aちゃん………もう僕と付き合っちゃう？」
前言撤回。おい待てやクズ。
スマホの先で彼女が断るのが聞こえて少しだけ安心する。
「ええ〜！俺なら女心は分かるし、長年の付き合いからAの好みならバッチリよ？シッマなんかより優良物件やと思うけど、」
そこまで聞いた所で、俺は大先生の肩に手刀を振り下ろす。
いってぇ！！！と大袈裟に叫ぶ彼を見て少しだけ気晴らしになった。
『ちょ、大丈夫？誰かいるの？』
「ん、あーいや、大丈夫大丈夫。気にせんで。じゃ、俺も同じクラスやし、ほんまあんまり無理すんなよ。体調も、気持ち的にも」
『うん、ほんとにありがとう』
「ああ、あと、シッマと仲良くして他の子達に目つけられるっちゅうのは、あんま気にせぇへんでもいいと思うで？」
『う、うん？わかった』
「ほな、また明日な」
最後にまた余計なお世話を残して、彼は通話を終えた。この男は本当に隙あらばである。既に女関係でさんざん痛い目を見ているのに、本人は全く懲りる様子もないのだから、一生改善はされないのだろう。
じろりと彼を睨んでやると、いつの間にか泣き出していた大先生はグズグズの声でこちらに手をのばしてくる。
「し、じっまぁあ゛……っ、」
「さっきの威勢はどこ行ったんや…女以外の前でもシャキッとせぇ」
「っ、ぜやけどさぁ！」
「あー離れろ！顔洗ってこいや！」
「う゛ん…っそうする゛…」
ずずっ、と鼻をすすりながら彼は部屋を出ていった。その背を見送りながら、俺は大先生のスマホをじっと見つめていた。
彼女が来年には死んでしまう。なんてリアリティの無い話なんだろうか。
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なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
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