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それからバスに乗り、桜町の外の大きな町までやって来た。
花火大会は川沿いで行われる。近くの駅から高架橋に至るまでが封鎖される、大掛かりな祭りだ。バスもとても混んでいて、2つ目のバスに乗ってやっと会場近くまで到着した。
先にバスから降りて後ろから来たAに手を差し出す。
「す、すごい人の量だね…」
「有名やもんなぁここの花火大会。そういえば去年も来たんやけど全員見事にはぐれて、花火一人で見たな！」
「えっ、合流できなかったの！？」
「おん。まぁ去年はチャリで来たから帰りは一緒に帰ったけどな」
その日こそ、俺がAへの気持ちを自覚した日だ。大先生にそれは恋だと指摘され、俺も意外とあっさり認められた。否定したところでこれを他の感情に区分できなかったのだ。
去年の祭りを思い出しながら歩いていると、本当に人が多く彼女にぶつかりそうになる人が目にとまった。
いつもやられっぱなしなのも癪なので、たまには俺から彼女に仕掛けてやることにする。
「途中スマホで連絡取り合っても混みすぎて誰とも合流できんかったわ。せやから…」
はぐれんなよ。
「わっ」
繋いでいた手を離して、代わりにAの肩に手を回してこちらに引き寄せる。
この季節でも彼女は変わらず柔らかい匂いしかしない。男子と女子というだけでここまで違うものなのか。今手を添えている肩も俺と違って小さく、改めて女子なのだと実感する。
ちらりとAの顔を見ると、珍しく耳まで赤くなっていて落ち着かない様子で視線を泳がせていた。
「A」
「う、あ、はい…？」
「顔、真っ赤やで」
俺の言葉にAは更に顔を赤くして下を向いてしまった。
勝った…！そう思いながら肩に添えていた手を離して、再び彼女の手を取った。その手が少し汗ばんでいて、本当に照れているのだと分かり、らしくもなくテンションが上がる。あ、これがきゅんきゅんする、とかいうやつか！と新しい発見に勝手に盛り上がってしまった。
「疲れたら遠慮なく言ってな」
「う、ん……」
「っふはは」
「わ、笑わないでよ…！」
「いやぁ、顔赤いの暗くてもよう分かるなぁ思って」
「もう…」
彼女の小さな歩幅に合わせてゆっくりと歩く。あっという間に過ぎてしまうであろうこの時間、俺はいつ自分の事を彼女に打ち明けようかと弾む気分の裏側でずっと考えていた。
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なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
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