3 ページ4
.
「A、サンダルどうしたん？」
葵さんはサンダルを履いていたが、Aさんは裸足だった。白い足が日の光で余計に白く見える。
彼女は話しながらプールサイドに座った。
「サンダル一足しかなくてさ。私がじゃんけんで勝ったから葵に履いてもらってるの」
「私はいいよって言ったんだけど…」
「プール汚いから俺の貸すよ」
「ああ、いいよ別に」
「女の子なんやから駄目だよ」
大先生がそう話しているのを無視して、Aさんは裸足のままプールの底に足をついた。床下に張り付くゴミを諸共せずに。
「ほら、もう足つけちゃったから」
「えぇ〜？Aほんまそういうとこよ」
「いいから、掃除始めよ」
そのやり取りを横目に、俺は無言で掃除用具入れにデッキブラシを取りに行く。後から来た大先生にも一本渡して、一時間程度の掃除が始まる。
。。。
「っし！こんなもんやろ」
ホースで最後に水を撒いて掃除を終えた。掃除は自然と男女で別れて行われたため、俺は特に彼女と話すこともなかった。大先生は葵さんに彼氏居るの？とかタイプは？とか聞いていたが、答えは全てあの発作持ちの甘党関連だった。
大先生は一息ついて汗を拭い、ホースを片付ける。後に続いて俺や他二人も掃除用具を元の場所に戻していく。
「今週終わったら夏休みやなぁ」
「課題めんどいな」
「今年こそは期限までに終わらせたい…」
「大先生帰宅部なんやから暇やろが。逆に何してん」
「いやぁほらさー、ね？色々とあんのよ。葵ちゃんは？何部なん？」
「天文部だよ！夏休み中に流星群来るから忙しくなりそうなんだ」
「ほーう天文部か！ロマンチックやなぁ」
「あ！今年も遊びに来てくれるよね、A？…あれ、A〜？」
俺らが先にプールを出て話していると、彼女はまだプールサイドに佇んでいた。名前を呼ばれた彼女は先に行ってて！と笑顔で言うので、それに了解して俺たちは先に自分たちの荷物の置かれた着替え室に向かう。
リュックを背負い着替え室を出る。そこから歩いて校内、下駄箱に行くため、今日はそのまま帰宅する予定だ。
「シッマどうしたん？」
数歩先を歩く大先生と葵さんと別に、俺は足を止めた。
「先行っててくれ。忘れ物した」
「ん、了解。駐輪場で待ってるわ」
二人と別れて、俺は着替え室を過ぎ、プールサイドに向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
