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バス停から少し歩いた所にある大きな公園まで来た。今日は平日だけど、子供連れやご老人など人はそこそこ多かった。私は公園の池沿いにあるベンチに座って居ると、飲み物を買いに行っていたコネシマくんが戻ってきて、手に持っていた二つの飲み物のうちレモンティーを私に差し出した。
「ん」
「これ、私に？」
「…レモンティー嫌いなんか」
「あっ、ううん。好きだよ。ありがとう」
それを受け取ると、彼は少しだけ間を開けて隣に腰を下ろし、サイダーをプシュッと音を立てながら開封して一口飲む。それから一息ついて、それ、と視線は前に向けたまま言った。
「知ってる奴、他に居るんか？」
「…家族と、ごく一部の人だけ」
「そうか」
「…えっと、コネシマくん、」
「別に言いふらしたりせぇへんから、そんな顔すんなや」
そんな顔、していたのだろうか。私は咄嗟に違うよ！と反論して、ただ…と顔を下に向ける。
「他に何も聞かないんだなぁって…」
「知って俺がどうにか出来るもんでもないやろ」
「そう、だね…」
「…あー…ちゃうねん、そんなつもりや無くて…」
彼はガシガシと頭をかいて唸る。今の彼は学校での彼と違って、少し声も低いし一般的な音量だし、一言で言えば静かだ。そっと彼を見ていると、ちらりと私を横目に見た彼はまたすぐに前を向いてしまった。
「学校は、もう来おへんのか？」
「特に体調も今までと変わりないし明日からいつも通り登校するよ。
そういえば、コネシマくんはなんで病院前まで来たの？」
「部活で怪我しててな。もう完治したから、今日は最後に診てもらうだけや」
「サッカー部、だったよね？」
「…おう、知ってたんか」
「もう一年も同じクラスだし。それにコネシマくん、目立つから。学校帰りに校庭の近く通る時とかたまに見ちゃうんだ」
ちょうどサイダーを飲んでいた彼がうぐ、と喉を詰まらせるように飲むのをやめた。驚いて大丈夫かと声をかけると、咳払いをした彼は顔を赤くして私を見る。珍しい彼の姿に少しだけドキリと胸が鳴った気がした。
「…Aサンそういうこといきなり言うのやめてくれや」
「え？ご、ごめんね…？」
彼は掴みどころがない。
学校と今と全く違う人みたいだし、今言われたこともいまいちよく分からない。私の高校はクラス替えがないから一年彼と同じクラスな訳だけど、実はほとんど話した事も無かった。ただのクラスメイトという認識だったから、こうして話すのも初めてだ。
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