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じりじりと照り付ける強い日差しの下。私はバスを使ってある場所にやってきていた。
今は夏休みである。冷房の効いた車内から外を眺めると、目的地がだんだんと見えてきた。一面の青がキラキラと白い光を反射させて、なんだかすごく遠くまで来たような、そんな非現実的な気持ちになる。
バスで約一時間半、私は海にやってきていた。
「こんにちはー！」
砂浜に到着して真っ先に向かったのは、平屋の小さな建物。入口ののぼり旗に書かれた”ラーメン”の文字を横目に、私は中に入り声をかける。
「Aちゃん！よく来てくれた！」
奥の厨房から顔を出したのは、目鼻立ちの整った男性。茶髪をバンダナでまとめた姿の彼は、ここの海の家のラーメン屋で働いている。
「きっくん、久しぶりです」
「久しぶりー！いやぁマジこの時期めちゃくちゃ混むから来てくれて助かるわ。店長と奥さんも足腰悪くてあんまり動けないからさ」
彼はきっくん。私の母の知り合いで、幼い頃からお世話になっている人だ。騒がしくて残念なイケメンとよく言われている彼だけど、料理の腕は確かで、ここのラーメン屋を任されたらしい。今日はそんな彼にバイトとして雇われたのだ。
「Aちゃん朝食食べてきた？」
「食べてきました」
「………ちょっとだけ食べない?」
「何をですか？」
アレ、と指さした先にはテーブル席に座る三人の人物。そのテーブルにはラーメンらしきものが四つ並んでいる。きっくんとそちらへ向かい、こんにちはと挨拶する。
「お前ら、今日バイトで来てくれたAちゃんだ。で、Aちゃん。こいつがＦＢで隣の人があろま、こっちはえおえお。俺の友達兼、今日の手伝いメンバー」
「よろしくお願いします」
彼らに頭を下げて、さっそく目の前のものについて聞く。
「これがＦＢ作のトマトラーメン。こっちがあろま作のザ・ラフレシア。これがえおえお作のヤケクソミソラーメン。で、俺のマッスルラーメン！」
「こ、個性的なラーメンですね」
汁の少ない赤いラーメンや肉まんの乗ってるもの、カニの足が刺さってるもの、見た目はそこまでだがあまりいい匂いはしない。なんか甘い匂いがする気がして、思わず苦笑いをこぼした。というか、勝手にこんなものを作っていいのだろうか。自由すぎる彼らの出迎えに、私の一日が始まった。
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