【実ｼ兄者】長編にならなかった話達【短編集】 (ページ16)

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その2 ページ16

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夢主視点

仕事終えた私はシャワールームから出て、着替える。今回は若干の擦り傷ですんだし、ペ神にお世話になることは無さそうだ。
冷蔵庫から冷えた水をとりだし、一思いに飲む。一息ついたところで、ドアがノックされた。

「Aー！おるかー？」

聞きなれた無駄に声量の多い声に返事をしながらドアを開ければ、金の短髪の男がそこにいた。

「シッマ！どしたん？」

「おお、起きとったか。疲れて寝てるかと思うたけど、そろそろ夕飯の時間やから呼び来たんや。」

「なるほど！行くいく！」

「お前髪乾かさへんでええんか？」

「あ、そっか。じゃあ乾かし終わったら行くよ。ありがとうシッマ。」

「おう、風邪ひかんようしっっっ、かと乾かせよ！」

「はーい。」

シッマにぼんぼんと雑に頭を撫でられ、笑顔を返す。私はさっさと髪を乾かし、自室を出た。

食堂に向かう途中。

廊下には誰もいない。自分の足音しか聞こえない。
そのはずなのに。

後ろから、確実に、誰か来ている。
この気配、飽きるほど感じてきた。何かが背中に這うような、それで、四肢が掴まれているような、そんな感覚。
その人物の足音は聞こえていない。が、ゆっくりと振り返れば、ほんの数センチ先に、彼はいた。

「くっふふ…A？」

ゾムさんである。