その2 ページ12
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「ロボロさん、ロボロさん。」
彼女手には、鋭利なナイフが握られている。彼女はその名前を呼んだ人物の上に跨って、ある場所にそのナイフを突き立てていた。
「ん…っ、う"…！！？」
「あー、あー、あー。口閉じたら切れちゃうよ。」
先程まで規則正しい寝息を立てていたロボロが彼女の声に目を覚ます。
そんな彼の口の中に、彼女の握りしめたナイフが突き立てられている。
無意識に口を閉じようとした彼の口端にナイフが触れ、浅く切れたそこから微量の血が流れた。
「そんな大口開けて寝てたら、口の中にナイフの一つや二つくらい突っ込みたくもなるよ。」
未だ状況のつかめない彼はとにかくそのナイフから離れようと彼女に手を伸ばし抵抗するが、彼女はそれに逆らい口の奥へとナイフを突き立てる。
目に涙を浮かべる彼を見て、彼女はニタリと厭な笑みを浮かべた。
「ロボロさん。私は今から、君の喉を掻き切ろうとしてる。」
「ぅあ"っ…！やあ"ぁ…！！」
「君のその綺麗な声が聞けなくなると思うと少し寂しい気がしなくもないね。」
口を開けたまま叫ぶロボロの声を聞いて、彼女は口の中でナイフを回す。きり、と歯にナイフが当たった。ほんの数ミリナイフが大きかったなら、今頃彼の口の中には血が溜まっているところだろう。
彼の反応を楽しんでいた彼女。
そんな彼女のインカムに、一つの音声が入る。
『…おい。今すぐ、ロボロから離れろ。したら俺の部屋に来い。』
その声の主を理解したAは舌打ちをして、大人しくナイフを引きハンカチで血を拭き取り、そして彼の上から降りる。
ロボロが良かったと胸を撫で下ろすのも束の間、彼女は彼の足と足の間に思い切りナイフを振り下ろした。ブチとベットの布が切れる。
「ひっ……」
「…さっきこっちに手を伸ばした時にインカムのスイッチをオンにしただろ。」
「………」
「まぁいいや。早く行かないとトントンさんに殺されるかもしれないから、じゃあ、ロボロさん。
また、今度。」
彼女はベットからナイフを引き抜いて着ていた服の背中裏にナイフをしまい込む。
そう言い残して、彼女はロボロの部屋をあとにする。
未だに早まった心拍数の戻らないロボロは、力を抜いてベットに身をあずけた。
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