その2 ページ2
01_偶然
▽.
夜、10自時近く。
学校近くの図書館で勉強をしてから、電車で二駅またいで帰宅する。
私の通う学校は進学校だ。
両親は幼い頃に他界しており、今は親戚の家に引き取られていて、私には13歳の義理の妹がいる。私の今の家は軽いお金持ちだが、それを私に贅沢に使わせてくれることは無かった。だが、妹に通わせる中学の下見として、私は少し遠くのキラキラとした外観の進学校に通わされていた。
今年は受験生。夏休みも迫る中、私は先生や周りの生徒、義理両親からプレッシャーをかけられている。
でも、毎日毎日頑張ろうとも、結果は出なかった。
点数は上がっているのに、上がるどころか下がっていく校内順位。私が努力するよりも、他の人は私より努力して結果に出している。
「あんな綺麗な校舎で高い金払って通わせてあがてるんだ。もし次のテストで順位下げたら、退学させて一生雑用させるからね。わかった？」
そう言っていたあの女の声が再生される。
電車で二駅またいで帰宅する。
最初に私はそう言ったが、それはあくまでもいつもの話。
今日は、違う。
駅には向かわず、私はコンビニに行き、その日の夕飯を買うと私は路地裏へと姿を消した。
。。。
私が今いる辺りは古びたマンションやらアパートが多く聳え立っている。少しここを抜ければキラキラとした都会があるのだが、逆に言えばすぐに廃れた街並みがあるのだ。
警察の人に声をかけられるのが一番厄介だ。警察にさえ見つからなければ、私は誰にも邪魔されることはない。ガラケーを持たされているものの、親から連絡が来ることはほとんど無かった。
今日はどうしても帰りたくない。理由は簡単なもの。
今日は定期テストの結果が返ってきた日だ。結果は予想していた通り、点数は上がっているのに順位はまた一つ下がっていた。
夕飯にと買ったおにぎりを齧りながらこんなことを考えてみる。
「(あー、死にたいかも。)」
家の雑用とか、どこかの灰被り少女みたいだけど、私にはそんな輝かしいハッピーエンドなんて待っていないのだ。
今日はどこかの廃墟にでも止まろうと、路地裏におにぎりのゴミをポイ捨てした時。
「オイオイ嬢ちゃん、ポイ捨ては良くねぇなぁ。」
男の人に声をかけられた。
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