【d!】月の魔女と愛念の呪い【gr】 (ページ40)

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本日は大学は休みであるが、俺とAは学院内の生徒専用仮部屋まで来ていた。休みのせいか学院内はいつも以上に静まり返り、2人の足音だけが無駄に高い天井までに密かに響いている。
学院内、と言ってもその中の医学院であり、ここに来た理由は一つである。とある一室まで来て、軽いノックをした。

「エーミール、いるか？」

一息置く間に扉が開かれ、中から見慣れた人物が現れた。

「お待ちしてました！どうぞ入ってください。」

先日約束したエーミールとのお茶会の日である。研究熱心な彼にAの話を聞かせてやるためにここにやってきた。俺は、まぁ、付き添いってやつだ。
招かれたソファに腰を下ろすと、エーミールが手際よく俺とAの分の紅茶と珈琲を用意した。傍らには硝子の器に茶菓子もある。

「御丁寧にありがとうございます。頂きますね。」

「いえ、こちらこそわざわざ出向いて頂きありがとうございます。本物の魔女からのお話なんて体験できませんから、話せる範囲で構わないので沢山質問させてください！」

「はい。私に答えられるものならいくらでも。」

すると早速、エーミールは胸ポケットから愛用のメモ帳とボールペンを取り出して話し始める。

「お話を聞いてる間、失礼ながらメモをとらせていただきますね。」

「全然構いませんよ。」

興奮気味に質問を始めるエーミールと、落ち着いた様子で答えるAを、俺は横目で見ながら静かに茶菓子をつまんだ。