【d!】月の魔女と愛念の呪い【gr】 (ページ28)

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学院を見学した帰りのこと。
夕食の材料を買うため、俺とAは行きで通りかかった商店街までやって来ていた。

野菜から肉、果物、魚までありとあらゆる食材が売りに出されている。夕食前のこの時間はとても賑わっていた。

「あ、グルッペン。」

そう声をかけられ、俺はある店の前で歩みを止める。その店の前にはエーミールと、店側に立つ穏和そうな人物。

「ひとらん。どうだ、収穫の具合は。」

「今年も順調だね。アスパラとかぶとレタスと……春の食材勢揃いだよ。」

彼はひとらんらん。俺やエーミールなどと同じ学院に通う農業科の生徒だ。彼は自分の畑を所有しており、共働きをしている両親に代わり、よくこの商店街の通りで収穫物を売っている。

「Aさんもいらしていたのですね。」

「Aさん…？もしかして今日、学院の見学に来てるって言ってた人？」

「そうだ。A、こいつはひとらんらん。学院の農業科に通ってる。」

「こんにちは、Aと言います。えっと…ひとらんさん、で宜しいでしょうか？」

「うん、好きなように呼んでいいよ。」

互いに自己紹介を終えて、俺は今日の食材をひとらんの店で買うことにした。知り合いのよしみで少しだけ安く提供してもらい、俺たちは商店街をあとにした。