本 能１２【銀魂】

第３１７話　神威SIDE ページ20

ー治療室ー


ア)おいおいどうした。
失恋でもしたか、すっとこどっこい。


Aが出ていった治療室


あの後


Aと入れ替わりに入ってきたのは、


アブトだった


神)別に、そんなんじゃないけど。
イメチェン・・・ってやつだよ、アブト。


俺ははさみを手に取って、


後ろで編んだ三つ編みをばっさりと切った


「失恋したから」


とか


そんな理由はない


ただ


このモヤモヤした気持ちを


どうしても消えない


このなんともいえない複雑な想いを


なんとかしたかった


それだけだった


いつか聞いた話によると、


地球では


気合を入れたりするときに


髪を切ったりすることもある・・・とか。


だから


やってみたのだけど。


神)・・・はぁ。


効き目なし。


あいかわらずの俺


ア)何があったかは知らねぇけどよ、
今回ばかりは、あんたの気持ちもわかんなくはねぇ・・・たぶんな。


神)・・・？


ア)俺も・・・あんたと同じだ。提督。


神)・・・え。


ア)大切なものってのは、
そう簡単には手にはいらねぇ。
それもよりによって・・・バカな上司と結婚しちまうたぁ・・・。


神)・・・っ！


俺にはわかった


たぶん


たぶんアブトは


Aのことが・・・


ア)ま、過去の話だがな。


神)・・・！


ア)今はもう関係ねぇよ。
てか、なんか飲み物でも飲むか？


神)アブト・・・


ア)・・・あ？


神)一つだけ聞いてもいいかな・・・？


ア)なんだよ。


神)アブトがもし、今の俺と同じ立場だったら・・・どうする？


・


俺は


廊下を走る


・


ア)そうだな・・・。


・


治療室を飛び出して


薄暗い廊下をただひたすら走る


・


ア)俺だったら・・・


・


神)Aっ！・・・Aっ！！


廊下に響く俺の声


その愛しい名前


もう・・・何年前だっけ。


地球で初めて俺たちがあったあの日


神)・・・あっ！そーいえば、まだ名前聞いてなかったね＾＾
なんて名前なの？


A)・・・Aです


神)へー！Aっていうんだぁー！イイ名前だね＾＾


A)あ、ありがとう！！


こんな会話を交わしたのは。


この時から今まで、


何度その名を呼んだだろう


・


ア)俺だったらきっと、
もう一度自分の気持ちを伝えに行くだろうな。
本当に好きなら、愛してるなら・・・な。


・


神)俺の気持ち・・・か。


俺は行く


「愛してる」


この気持ちをもう一度伝えるために。

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