放心状態 ページ8
『嫌だ、ペンギン、離せ』
「答えろよ、なぁ！」
自然と手に力が入る
痛かったのか、Aは顔をゆがめてこちらを見つめてくる
特徴的な緑色の目がゆらゆらと揺れていた
普通の人間が見れば綺麗だと思うところだろうが、今のおれにはそれすら思わなくなっていた
「おれはお前にどんな秘密があっても、それを隠してても別に構わない
お前がどんな奴だろうとも、おれはお前のそばを離れたりなんかしない
だって好きだから、愛してるから、でも・・・お前はおれの事を“無関係な人間”だと
思ってたのか？」
『ちが』
「違うなら何で“無関係な人間”なんて言ったんだよ！！！」
さらにAの肩を掴んでいた手に力が入る
痛みでゆがんでいたAの顔は、恐怖の表情に変わっていた
揺れていた緑の目からは涙が流れ出ている
「おれはお前の彼氏だろ？なのに“無関係”なのか？」
『嫌だ、離して、お願い』
「そこまでじゃ！！！！」
ビリビリと辺りが震えるような威勢のいい声が響き渡った
Aの肩を掴んでいた手が、腕に巻き付いたワイヤーで引きはがされる
声の主はAの師匠、マリポッサ・ロスカだった
自分の肩にかかっているジャケットの中に、Aを隠すようにして軽く抱きしめる
すぐに後ろからキャプテンが走って来た
「よしよし、怖かったであろう？安心せい、もうだいじょうぶだ」
「勝手に突っ走るな！！ペンギン！！」
「・・・・・・ペンギンとやら、このような事で取り乱すとはそなた、まだまだ子供だのう」
「・・・・・・・・・・・・！」
その一言で目が覚めた
“無関係”なんて言ったのは言葉のあやだったかもしれないのに
不本意で言ってしまったことなのかもしれないのに
「ペンギン、船に戻るぞ」
「え、でも、Aは」
「こんな事が起こったんだ、すぐに帰ることは出来ねェだろ」
「そうじゃな、少し街をふらついてから戻るとしよう・・・ペンギンとやら
そなたが先ほどの行動を改め、考えなければ、そなたの元にAは返さぬ」
何も言えなかった
名前を呼ぶことも、たった一言謝ることもできなかった
Aも、こっちを見ようともしなかった
ジャケットの内側に身体を隠し、震えていた
おれはほぼ放心状態で、キャプテンに引っ張られるようにして船へ戻った
頭の中は、何も無かった
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
