心意 ページ38
ローside
「やれやれ、今日はいろいろあったのう」
「全くだ・・・精神の消耗が激しい」
ソファに深く腰掛け、ため息を吐きながら天を仰ぐ
もしあの場で、Aがフロードの事を殺していたらと思うと、まだ心臓がバクバクする
家族間の問題に直面する事が起きるなんて、思ってもいなかったからな
「話しておきたい事がある」
「何だよ、どうでもいい事ならバラすからな」
「ここでの私の役目は終わった、だから次の島でこの船を降りようと思う」
「・・・そうか」
「世話になったな」
そう言って蝶屋は軽く頭を下げる
「Aにはもう言ったのか？」
「いや、まだじゃ」
「なら何で最初におれに言ったんだよ」
「言うならまず、Aの上司にと思っていてな・・・それに、言いたい事があっての」
「言いたい事？」
背もたれから背を離し、糸で吊られたかのようにピンと背筋を伸ばして
真っ直ぐおれの事を見つめて、声を出した
「あの子の事を、これからもよろしく頼む」
そして再び頭を下げる
今度は深く、心意を籠めて
師匠として、弟子を任せる事の覚悟だろうか、そんなものを感じさせられる
海賊の世界は過酷だ
そんな過酷な世界に、可愛い弟子を放り込むなんて事が怖いんだろう
「・・・・・・」
「正直、海賊をやっていると知った時、ここから連れ出そうと思っていたが・・・
お主の元ならだいじょうぶだと思った、クルーの事を大事に思っているお主なら
安心してAを置いて行ける」
「・・・そんな事思わなくても、あいつはだいじょうぶだ」
「と、言うと？」
「あいつはお前が思ってるより強い、海賊として言う事ナシだ
心が折れても、支えてくれる仲間がいる・・・蝶屋、あいつはもう“一人”じゃない」
驚いた表情をこちらに向ける
今言ったことは嘘じゃない、Aは立派な、おれの自慢のクルーだ
シャチもペンギンも、ベポやジャンバール、その他のクルーたちも、おれの誇りだ
「ありがとう、虎の坊」
「いい加減名前を覚えろ、虎の坊じゃねェ、“トラファルガー・ロー”だ」
「それを言えばお主も蝶屋と呼んでいるではないか、私の名は“マリポッサ・ロスカ”だ」
「お前が先に言えよ」
「嫌じゃ、お主が先に言わんか」
「おれに命令するな」
「わがまま言うでない！・・・ああ、もしや恥ずかしいのか？」
「なわけねェだろ！！」
やっぱり、こいつとは性に合わねェ
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
