鉄拳 ページ37
考えるのをやめたペンギンは、顎から手を離したと思いきや
おれの頭を思いっきり殴ってきた
久々の、ハートの海賊団定番“鉄拳”である
「痛ェな、何すんだよ！」
「んな事も分かんねェのかお前は」
「んな事って何だよ、こっちは真剣に聞いてんだぞ！？」
「だからそんな事も分かんねェのかって言ってんだよ」
もう一度、ペンギンの鉄拳がおれの頭を打つ
ズキズキと痛む頭をさすりながらうめき声をあげる
やっぱり痛ェな
「相棒だよ、他の誰にも負けねェ、最高な相棒だ」
「でもお前はAを優先してたじゃねェか」
「お前の考える“相棒”ってのは、いつでもどこでも一緒に行動する奴の事か？」
「・・・！」
「“相棒”ってのは心で通じ合ってるもんだろうが、だから連携も上手くいくし
考えてる事もすぐ分かる、ただ一緒に行動を共にしてるだけの相棒なんか相棒じゃねェ」
「そう、だな」
「だからお前がさっき質問してきた時、何考えてるかも分かってたぞ
“Aが居なかったら、おれとペンギンは相棒で居れたかもしれない”
・・・合ってるか？」
「・・・・・・うん」
全てお見通しだったらしい
なら、晩酌に誘った時の気持ちも全部分かってたんだろう
彼女大好きなこいつの事だ、多少頭の血管切れてるだろ
おれここで殺されるかなぁ・・・
「件の海軍との戦闘の後でさ、おれAに怒られたんだよ」
「え？」
「“お前は相棒ほったらかして何私を最優先してんだ”って、自分は守られるほど弱くないし
女だからって守らなくて十分だって」
「そんな事言ってたのか、あいつ」
「言ってた言ってた、めちゃくちゃ怒ってた」
守られるほど弱くない、か
おれは守られてばっかりだ
おれはもう“大人”になったと思ってた
でもまだまだ子供だったんだ
ペンギンに甘えてばっかりで、何でもかんでもペンギンに縋り付いてた
スワロー島に居た時と同じだ
「おれ、ずっとペンギンに甘えてたんだなぁ」
「もっと甘えていいくらいだけどな」
「いいや、もうやめる！これからはお前にゃ甘えねェ！」
「言ったな？」
「おう！」
お互い顔を見合わせて、突き出した拳を強く打ち付けた
約束を破らないように、ずっとこの手に握りしめておくために
お互いを、世界中どこを探しても変わりが見つからないような、最高な“相棒”だと
再認識するために
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
