晩酌 ページ36
シャチside
後方の甲板で、一番船尾に近い場所でペンギンが待っていた
床には酒や肴など、晩酌の準備も万端である
「おう、来たか」
「お前はいつも早く来てるよな、いつ来たんだ？」
「夕飯終わってすぐ」
「いや早くね」
夕飯からもう三時間かそこらかかってる
ずっとここで待ってたんだろうか
「なぁ、シャチ」
「ん？」
「初めてキャプテンと会った時の事、覚えてるか？」
「ああ・・・あの時はひねくれてたよな」
「お互いな、じゃあ、キャプテンとベポに助けられたときの事は？」
「あんなもん忘れるわけねェだろ」
「だよなー、おれもまだ鮮明に覚えてるもん」
この話も何回目だろう
一緒に居る時は、必ずする話
ここから話が弾んで、話が弾むと同時に酒も進んで、騒いで
翌朝キャプテンに叱られるまでがいつもの事だ
でも、今回はここで会話が止まった
ただ二人とも、足元にあるランタンの光を見つめながら酒を飲んでいるだけだった
と、唐突にペンギンが声を出した
「ごめんな」
「・・・え？」
「おれさ、ずっとAの事ばっかでシャチの事ほったらかしにしてたろ？
この前の海軍との衝突だってA優先でさ、ムカついたろ？」
「いや、そんなには・・・」
「嘘ついたとき帽子を直す、お前の悪い癖だぞ」
「・・・っ」
その通りだった
今まで一緒に戦ってきたペンギンが、ペンギンと一緒に居た時間がまだ浅い女の方へ離れてく
そんなペンギンを見て、腹立たしさを覚えたのは事実だった
「・・・今までずっと一緒だったのにな」
「うん」
「・・・・・・ペンギン」
「何だ？」
「Aが来るまでは、おれはお前と“相棒”だと思ってた、でもあいつが来てから
そうじゃない気がするんだ、おれよりAの方が“相棒”って感じがして」
「やっぱ、そう思わせちまってたか」
「なぁ、おれは今お前の何なんだ？」
それだけ知りたい
今もおれはペンギンの相棒なのか、そうじゃないのか
答えは何だっていい、嘘偽りない答えが欲しい
「んー・・・」
顎に手をあててうなっているペンギンを、ただ黙って見つめる
そんなに考える事か？
早く答えをくれよ
自分が嫌でたまらないんだ
あいつさえ居なければ、おれはペンギンとまだ相棒でいられたって考える自分が
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
