嫌い ページ32
ペンギンside
『どう思う？』
「・・・何が？」
『私がした事について』
おれの方を見ずに問い掛けてくる
いつもは真っ直ぐおれの目を見て話をするのに、今は合わせようとしてこない
こいつは、実の兄を自分の手で殺そうとしたんだろう
いくら今まで腐るほど人を殺していても、実の家族となると誰だってためらいはあると思う
そんな人間を自分の手で殺そうとした、その事実がある中でおれと目を合わせるなんて
恐くてできっこない・・・とでも思っているんだろう
「この前言ったろ、おれはAがどんな奴だろうと離れないって」
『そういう問題じゃない』
「・・・どういう事？」
『殺そうとしたんだよ？実の家族を、いくらあの人が極悪人でも家族は家族じゃない
その家族を殺そうとしたんだよ？これっておかしいと思わない？』
「A？」
『キャプテンが話してたでしょ、過去にお世話になった人が家族を殺そうとして
それを“家族が家族を殺すところなんて見たくない”って言って止めた話・・・
その家族が家族を殺すっていう事をキャプテンと師匠の目の前でやったんだよ？』
「・・・・・・」
『・・・・・・嫌いになった？』
その言葉で、Aが何を考えているのかが分かった
「嫌ってほしいのか、お前の事」
Aは何も答えなかった
ただ膝に顔をうずめて、微動だにしなかった
多分、正解
死んでたと思ってた兄貴が生きてて、その生きてた兄貴が探してた兄貴じゃなくて
そんな兄貴が故郷を壊滅させた張本人で、自分にとって大切な人間を殺すとか言われて
その全部を“お前のため”の一言で片づけられて
実の家族を殺そうとした
たった数時間の間に起った出来事が多すぎて、収集がつかないんだろう
「嫌わねェよ」
『・・・・・・何で』
「さぁ」
『・・・さぁって何、理由もないのに嫌わないって何なの』
「じゃあさ、何でAはおれの事好きになってくれたの？」
『・・・分かんない』
「それと同じだよ、多分」
『・・・何それ』
小さく笑うAを見て、落ち着いたかと思い安堵の息を吐く
脚に回していた腕を上げ、手を組んで伸びをする彼女の雰囲気は、前とは少し違って見えた
自分自身に絡みついていた重い枷が外れたような、そんな感じがした
『ありがとう、ペンギン、おかげで吹っ切れたわ』
「そりゃどうも」
『ちょっと待ってて、野暮用済ませてくる』
「野暮用・・・？」
『すぐ終わるから』
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
